出版社内容情報
安良城学説を批判的に継承しながら,「小領主」概念を駆使して,中世から近世への移行と幕藩制構造論を展開した1950年代から60年代の代表的な論文「兵農分離をめぐって」「日本近世史の自立」など19篇を収録.
内容説明
統合された巨大な権力が存在しなかった時代には、村や荘、郷など、さまざまなレベルの地域の周辺に大小の公共的課題が存在し、大庄屋・庄屋・年寄など村役人クラス、在地する領主・豪族、近代ならば地主・素封家たちが自力で公儀諸権能を発動して、村落とその周辺を含む地域の民生安定に貢献していたと考えられる。
目次
文政六年千七カ村国訴にかんする覚書
幕末における領主と農民―彦坂領河内国河内郡四条村を中心に
地主制にかんする二・三の問題―大阪周辺についての考察
幕末の一揆・打ちこわし
(書評)堀江英一著『明治維新の社会構造』
近世初頭における畿内幕領の支配構造
初期免定の記載様式について
甲賀の火矢
十七世紀における産業構造の特質
(書評)八木哲浩著『近世の商品流通』〔ほか〕