出版社内容情報
作者自選により,一九六○年代前半までの代表作を収録.Iには処女作「風浪」と「蛙昇天」を,IIには,木下民話劇の代表作「夕鶴」「彦市ばなし」のほか,「山脈(やまなみ)」「暗い火花」を収めて作者の多様な手法を示し,IIIでは,〈戦争〉を主題にした「オットーと呼ばれる日本人」「神と人とのあいだ」を収め,自伝的年譜を付す.
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
まるのすけ
1
蛙昇天読み 声に出して読みまして、3時間。 大ボリュームなのですが、冒頭の舞台自体を語るようなセリフから始まり、人間=蛙の設定を伝え、その上災害・天災とそれにからんでのさまざまな派閥の政治的利用などが絡んできて。。。というお話し。 圧倒的な構成力で素晴らしい。2022/05/24
めっちー
0
「風浪」神風連の乱で有名な神風連が絡んでくる。西洋化が進む世の中に戸惑い、反発する人々が政府打倒を目論む。一青年である佐山は政府を倒した後を考えない彼らに悩み…。新政府への冷たい目線があり、肥後弁に慣れるのに時間が掛かる。「蛙昇天」徳田要請問題を基に、蛙の世界に擬人化した作。抑留先から帰還したシュレは裁判に召喚され証言するが…。裁判で偽の証言をしたり、真実が真実として扱われなかったりする裁判に絶望し、押し潰されるシュレが哀れでならない。共に社会派戯曲であり、世の中という混沌の中でもがく人々が書かれている。2022/10/05