出版社内容情報
幕末から開化期にかけての柳橋の風俗を描いた成島柳北(1837‐1884)の漢文随筆集.もと三篇からなる.初篇は深川にとってかわり盛んになった柳橋の花街風俗を活写.二篇は短篇小説ふうの挿話をつなぎ合せた構成で花街という視角から幕末維新期の激動を巧みにとらえた傑作.三篇は序のみ伝えられ本文は散佚した.
感想・レビュー
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tkm66
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斜め読み2001/03/30
にゃん吉
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柳橋界隈の盛衰を綴った戯文。前半の一編は幕末に、後半の二編は明治維新後に書かれたとのことですが、幕府の要人から幕府瓦解で下野という激動の時を過ごし、年齢も重ねたということか、後半が面白くありました。格調高い漢文で(なにしろ元儒官)、芸妓の品評をしたり、ご一新の世の中を鋭く風刺してみたりして、お巫山戯かと思わせつつ、失われゆく江戸の風流への哀惜を、漢詩で詠んでみたりと、いくつもの貌を見せる文人の戯文に、すっかり魅せられて読了しました。 2019/03/01