朝日選書
和解とナショナリズム―新版・戦後保守のアジア観

  • ただいまウェブストアではご注文を受け付けておりません。
  • サイズ B6判/ページ数 352,/高さ 19cm
  • 商品コード 9784022599117
  • NDC分類 319.102
  • Cコード C0331

内容説明

謝罪の決定版というべき「村山談話」から10年以上―。大きく進んだアジアとの和解の針を一気に巻き戻したのは、小泉首相が繰り返す靖国参拝だった。隣国で高揚する民族感情とも刺激し合いながら、頭をもたげるナショナリズム。戦後60年が過ぎても「アジアの中の日本」という自画像をはっきり描けない現実の裏には、和解と反発の間を揺れ動く戦後政治の煮え切らない姿があった。日本の政治は戦後、アジアとどう向き合ってきたのか。そして今後どう向き合って行くのか。本書では、戦後政治の基礎をつくった吉田・岸から小泉・安倍までを綿密に検証し、日本のアジア政策を丹念に読み解いていく。好評の旧著『戦後保守のアジア観』(1995年刊)に徹底加筆、再構成して戦後政治を解説した決定版テキスト。

目次

第1章 和解と反発のメカニズム(二〇〇六年十月八日;ナショナリズムの復権;「自由と民主主義」対「道徳性」 ほか)
第2章 分析・戦後政治史とアジア観(岸信介を許した東京裁判;吉田茂の戦前・戦後;脱亜と大東亜の源流 ほか)
第3章 もう一つの戦後史(追跡・葬られた謝罪―「伊藤博文の過ち」;妄言と謝罪の政治史;検証・天皇訪中が決まるまで ほか)

著者等紹介

若宮啓文[ワカミヤヨシブミ]
1948年東京生まれ。70年に朝日新聞記者となり、横浜・長野支局を経て75年から長く政治・外交を取材。この間、韓国の延世大韓国語学堂に留学、米国のブルッキングス研究所で客員研究員。2002年から論説主幹(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

Cosmic Kuma

0
歴史認識についての議論は左右両陣営で先鋭的に交わされているが、国にはそれぞれの立場があり、解釈だって違うのは当たり前。ただし、何が事実であるのかについては自分でバランスよく書物を選び、学ぶしかない。本書については、後半の日韓交渉以降の筆者のエピソードに注目したい。とりわけ、1958年に岸信介首相が個人特使として派遣した矢次一夫に託したメッセージは小生も知らなかった事実だ。伊藤博文をもちだして謝罪のメッセージを送ったこと。岸首相の個人特使は国家の意思を代表するものなのかについての双方の解釈に違いが出る。様々

Kazuki Yama

0
著者の若宮氏がいいたいことは、戦後保守政権の日本政治は、対外的に侵略戦争を詫びてアジアの国と和解したさいには国内向きにはそれに反発するようなかたちで侵略戦争を美化するようなナショナリズムも同時に先導されるというメカニズムがあるのではなかろうかという話だと思う。そして、そのプロトタイプな例が氷炭相容れないアジアへの謝罪と靖国参拝とが同時に行われることに収斂される話だと考えさせられた。ただし319頁の「発見された藤田メモ」に関する記述は若宮氏の理解にも共感できるがもう少し客観的根拠を提示するべきだったと思う。2009/08/15

外部のウェブサイトに移動します

よろしければ下記URLをクリックしてください。

https://bookmeter.com/books/2449364
  • ご注意事項