内容説明
贋招人姉妹によるいつわりの生霊騒動等、時の権力者・藤原道長の様々な追い落とし策謀に抗する、中宮定子の誇り高き愛を描いた女流文学賞受賞作「なまみこ物語」、『源氏物語』の現代語訳の過程で生まれた創見に満ちた随想「源氏物語私見」の二作を収録。円地文子の王朝文学への深い造詣と幼い頃からの親和に、現代作家としての卓抜な構想力が融合した二大傑作。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
すももとうさぎ
15
初円地文子。藤原道長の最大の脅威は、薄幸の皇后であったという解釈が興味深かった。円地文子さん自身にも興味が湧きます。美しい日本語の読みやすい文章、独特の視点…2014/04/30
夏子
8
「なまみこ物語」は最初は本当に実在する本だと思って読んでいたので他の人と同じく後書きを読んで吃驚。こういう凝った構成は遊び心を感じて好きです。「源氏物語私見」は現代語訳をした作者ならではの考察。とても細かい所まで語られていて楽しめた。長くて(特に最初の部分は)とっつき難かった「源氏物語」を頑張って読んで良かったなと思ってしまう。円地文子訳の「源氏物語」も読みたくなってきました。2015/11/25
やま
3
前半は架空の小説、後半は源氏物語に関する様々な考察。著者の古典の読み込みと考察の深さに圧倒される。2020/10/08
kaboking
3
二人がまだ少年少女だった時の、定子の黒髪にうずまり、幸せそうにしている一条帝のシーンが印象的だった。この後の二人の、強い結びつき様を象徴するシーンだと思う。不思議な、何やら、この世ならぬ美しいモノを見ているような・・・。『なまみこ物語』2013/11/19
ひい
3
なまみこ物語の五感を刺激する官能的な文章と、源氏物語に対する深い意見の随筆と合わせると相互補完で赴き深いです。2011/10/22