集英社新書
文士と姦通

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  • サイズ 新書判/ページ数 217p/高さ 18cm
  • 商品コード 9784087201857
  • NDC分類 910.26
  • Cコード C0295

内容説明

心中する文士、逃げる文士、うまく立ち回ろうとする文士…姦通が、世の禁忌であり罪悪だったころ、それが白日の下にさらされた時に文士が見せた顔、顔、顔。明治から昭和にかけて、各時代を代表する文士・男女十一人の姦通をめぐる事跡を、『昭和文学史』を書き上げた「名探偵」川西政明が丁寧に追う。普段目にすることが少ない、「文豪若かりしころ」の写真も多数収録。姦通に苦しみ姦通により更なる元気を得た文士が、渾身の力で織り成す人間曼荼羅を堪能できる新書。

目次

大正文士の姦通(二度にわたる姦通事件―北原白秋;「愁人」からの逃避と自殺―芥川龍之介;妻譲渡事件の謎―谷崎潤一郎;「文学の鬼」とヒステリーの相関関係―宇野浩二)
女性作家たちの姦通(楽しく姦通しながら生きていく私―宇野千代;夫公認の姦通―岡本かの子;「くれなゐ」に燃える暗い性―佐多稲子)
文豪たちの姦通(姦通から情死へ―有島武郎;文豪だって妻を裏切る―志賀直哉;妊娠した姪を捨ててパリへ逃げた―島崎藤村;幻の姦通―夏目漱石)

著者等紹介

川西政明[カワニシマサアキ]
1941年大阪生まれ。中央大学卒。河出書房新社に入社、文芸編集者生活を経て、三十年間文芸評論活動に専念。『わが幻の国』(講談社)で第二十五回平林たい子文学賞受賞
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

メタボン

25
☆☆☆☆ なかなかに興味深いテーマであり、タイトルに惹かれて思わず図書館で手にとってしまった。男のだらしなさに比べて女たちはたくましい。岡本かの子、佐多稲子、宇野千代。それぞれに劇情を秘めている。姦通が文学を昇華させるというのは果たしてどうか。私小説として、出歯亀的には面白くなるのであろうが。有島は高潔すぎた。藤村は逃げた。志賀は男にありがちな解決。谷崎はやはり大谷崎らしい。芥川は神経症的に追い詰められた。北原白秋は意外だった。夏目はミステリー。2017/06/18

内藤銀ねず

20
その昔、大日本帝國では姦通(不倫)は犯罪でしたから、自分の人生を賭ける覚悟だったのだと思います。北原白秋の収監は新聞で報じられ、全国民の知るところになりましたし。文豪たちのスキャンダルを扱った「下世話」な本ではあるのですが、姦通によって素晴らしい作品を残した(と思われる)作家のエピソードを集めた何だかすごい本。こじつけかも知れないし、姦通が犯罪だったからこそ素晴らしい作品を生んだのかも知れないし。私は似たテーマで「文士と薬物」を読んでみたいです。2019/11/09

sasha

6
谷崎潤一郎と島崎藤村の嫌い度上昇中である。感情を殺して読めばいいのだろうが、どうしても女の目線で読んでしまう。不倫も作品の糧かもしれないけど、私小説が全盛の時代だったかもしれないけれど、途中、どうしようもなくイラッとした。2014/01/30

まどの一哉

4
自然主義の伝統のあるせいか、私小説ならずとも自身の体験をモデルに書かれた作品が多い日本文学。こんなにも姦通が大きなウエイトを占めていたとは知らなかった。自分の認識より人は簡単に姦通するもんだ。 もとより旧法では男性はなんら罰せられない上、妾を持つことも普通であった時代故か。女性では宇野千代が自由で突出している。2019/12/23

藤乃

3
白秋先生が意外と情熱的にやらかしていてびっくりした。 藤村などに関して最低だの感想があるが、ひどいことしてる人なんて腐るほどいるし、それが公開されてないだけであってクズの極みという風に思うのはどうかと思う。クズのうちの一人、の間違い。人間だれしもこういう面はあるさ。2016/12/20

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