内容説明
霞が関のエリート官僚はなぜ、いつも失敗し、腐敗するのか。政策を誤って日本経済を衰弱させただけではない。大蔵、厚生省汚職、防衛庁事件、そのほか官僚腐敗の実例は、限りがない。それは、官僚機構の本質的な無責任性に起因する。官僚たちは事実上の政策決定、つまり政治を執り行いながら、最後は、「われわれは役人にすぎない」と逃げるのだ。本書は数多くのデータを示しながら、霞が関の行動原理をあらゆる角度から解剖した。
目次
第1章 政と官
第2章 行革は権力闘争
第3章 日本の官僚機構
第4章 官僚とは何か
第5章 官僚たちのキャリア
第6章 官僚たちの縄張り
第7章 構造腐敗を生む大蔵支配体制
第8章 「橋本行革」の行方
第9章 官僚の病理は克服できるか
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ことぶき あきら
1
日本の官僚制論。高級官僚の制度と実態を有機的に描いた好著。巷では単なるイメージに基づく不要・過剰・間違った官僚バッシングを多く見かける。本書はかなり辛口の官僚制論ではあるが、事実関係も正確で邪推や憶測のようなものがない。著者は中日新聞記者であるが、その経験を余すところなく発揮しているように思う。また、制度論もすぐれている。最終章では丸山真男の「無責任の体系」にも言及し、日本における官僚の病理についてうまくまとめている。通産省と郵政省の「省際戦争」、キャリア官僚人事の運用の実際などが面白かった。2016/03/19
Hisashi Tokunaga
0
かの明治憲法は大臣は無答責の天皇に対しのみ(議会や国民にではなく)責任を有した。こうした制度に育まれた官僚群の遺伝子が、戦後全く消滅したといえるだろうか?官僚制度の問題点とは別に、そこに生き続ける官僚の生き様の歴史を垣間見せてくれた。官僚にとってのペナルティーとはなにか。そして自身にとってペナルティーとは何か。
domonarazu
0
7売