出版社内容情報
日露戦後,第1次大戦末にかけ,陸軍が独立した政治勢力として登場する過程を解明.大陸政策,満州経営政策をめぐる対立,陸軍内部の権力状況に光をあて,政党政治確立過程における藩閥と政党の対抗=提携関係の中に位置づけた.
感想・レビュー
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politics
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本書は日露戦後から第一次大戦期までの大陸政策とそれに伴う陸軍の政治的変容を分析した一冊である。桂園時代頃から大正初期において陸軍内部で山県・寺内ら藩閥勢力、上原勇作中心とする反藩閥派、さらに独自の勢力として田中義一らが対立と強調を繰り返す様子はまさに政治勢力として陸軍が浮上してきたことが分かる。そして二十一か条要求を巡り陸軍・元老・外務省らの対立する様子はまるでドラマの一部を見ているようであった。博士論文を元にしているが大変読みやすく、今なお大陸政策・政軍関係における古典となる名著であろう。2020/03/14