出版社内容情報
日本の前近代社会から近代社会への転換期に,遠隔地間市場で主に取引され全国的に消費されるようになった商品「鯡魚肥」を対象に,生産者・商人・輸送業者の結び付きのあり方に着目し,近世期と近代期日本の商品市場構造の歴史的展開とその特質を分析する.
内容説明
本書は、市場に焦点をあわせ、そこで交換された商品の性格によって表現される生産・流通・消費のあり方を含め、人間の経済活動の諸局面の歴史的展開の解明に迫ることを意図する。ただし本書で論ずる市場は、商品取引が行われた場所を歴史具体的に表現する「市(いち)」あるいは「市場(いちば)」ではなく、複数あるいは単数の相手同士が取引を行う抽象的な場としての「市場(しじょう)」を意味する。
目次
序章 課題と方法
第1章 鯡魚肥生産・流通の数量的概観
第2章 商場請負の開始と沖の口制度の成立
第3章 場所請負制の確立と北前船商人の北海道進出
第4章 場所請負制の動揺と内地船商人の蝦夷地進出
第5章 近世後期鯡魚肥市場構造の展開
第6章 場所請負制の廃止と近世来の諸勢力の対応
第7章 巨大中央資本の北海道進出と内地市場の様相
第8章 近代期鯡魚肥市場構造の展開
終章 結語