文春新書
伝書鳩―もうひとつのIT

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  • サイズ 新書判/ページ数 214p/高さ 18cm
  • 商品コード 9784166601424
  • NDC分類 693.9
  • Cコード C0265

内容説明

今の我々は鳩といえば駅前や公園のドバトを連想しがちだが、かつては新聞社のスクープ合戦の一翼を担う鳩もいた。海上や山間や僻地から写真などを身に帯び、隼や鷹の襲撃をかわしつつ、ときには数百キロという遠路を社屋目指して飛び帰る伝書鳩は、いわば当時の花形通信手段だったのだ。本書は明治期、軍用鳩として西洋より導入されてから、近年、レース鳩へと転身するまでのその歴史を、丹念な取材でたどりつつ、鳩が秘めた驚くべき能力の謎にも迫る。

目次

序章 忘れられた鳩通信
第1章 鳩通信の発祥
第2章 軍用鳩の活躍―第一次世界大戦まで
第3章 軍用鳩の終焉―第二次世界大戦から現代まで
第4章 新聞社・通信社の鳩便
第5章 様々な鳩通信
第6章 通信から鳩レースへ
終章 鳩の特殊な能力

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

鉄之助

114
「平和の象徴」鳩が、軍隊の”武器”として使用されていた時期があった。前線から司令部への暗号の機密文書を運んだり…。つい1990年の湾岸戦争でも、スイス軍を中心とする多国籍軍が衛星通信網がダウンしたときに備え伝書鳩3500羽を用意していたとは、驚いた。新聞社も鳩を使って写真や原稿送りをしていた! 1961年まで朝日新聞では、有楽町にあった本社の屋上の鳩舎に飼育専門の担当者がいたという。副題の「もうひとつのIT」の意味が伝わってきた。2018/10/01

小木ハム

8
公園や駅前でクルポと鳴いてる鳩たちにも″通信士″として使命に生きた時代があった。帰巣本能を利用して機密書類を運ぶ運ぶ。戦争や新聞社のスクープ合戦、長距離レースに人工受精の担い手にも。ご多分に漏れず人間に良いように利用されてきた訳だけど食うには困らない生活ができてる点で現代社畜と大して変わらないのかもしれない。メッセージがきちんと相手に届くのが当たり前の今日、百パーセント相手に届くかどうかわからない不確実性を選ぶメリットは無い。だけどこういったところに現代特有の″息苦しさ″を解くヒントがある様な気もする。2018/08/08

kuukazoo

6
軍用鳩のことも新聞社の伝書鳩のこともレース鳩の世界も何も知らなかったので(辛うじて漫画の『レース鳩アラシ』の存在を知ってた程度)、とても勉強になったし読み物としても秀逸。今や鳩といえばドバトの印象しかないが、通信手段として思いがけないほど多くの鳩が活用されていたことや、文書や写真を携え時に何百キロをも飛ぶ鳩の能力に驚かされた。「鳩通信」「鳩部」「鳩便」「鳩係」「鳩界」等々業界用語も何だか可愛くて笑える。2015/04/18

貧家ピー

5
これまで外れなしの著者の作品を久しぶりに読んだ。 鳩がテーマ。優れた飛翔力と帰巣本能を利用して、軍事・通信(文書・写真フィルム)・運搬(家畜精液)・レースなど多岐に渡って活用されている。山岳地帯が多い日本の地理に合っていたのだろう。LINEでも写真を送ることができる現代から見ると、驚きの働きぶり。2017/05/16

鏡裕之

4
資料として読書。伝書鳩の速度や通信管の重さが記してあったのが、非常に面白かった。新書だが、なかなか秀逸な内容。著者が亡くなっているのが、なんとも残念。2014/03/25

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