出版社内容情報
本書は、日本の女性に関わる公共政策が、総体として「一定の家族モデル」をもとに構築・展開され、状況に応じて変遷してきたことを実証し、それらの公共政策の特質をジェンダーの視点から明らかにするものである。これまでの日本の女性学においては政治・行政の視点が乏しく、政策やその形成過程を詳細に論じたものはほとんどなかった。本書は、戦後家族の変化を追いつつ、配偶者控除、女性の年金、保育政策、雇用平等、少子化などの女性に密接にかかわる政策の制定プロセスを綿密に追求し、これらが女性の社会的地位にどう影響したかを解明する。
【目次】
序章 公共政策のジェンダー分析に向けて
1 福祉国家論の系譜
2 福祉国家レジーム論とその批判
3 本書の分析手法
第1章 経済成長と「戦後家族」の確立―1945年~1960年代―
1 1945年から1960年代の社会状況
2 標準化する「戦後家族」
3 「被扶養配偶者」概念の定着
4 配偶者控除の創設
5 私事としてのケアワーク
6 経済成長と変貌する女性労働
7 「現代主婦」と家族単位モデルの形成
第2章 男女平等の胎動と「戦後家族」の揺らぎ―1970年代―
1 1970年代の社会状況
2 性差別撤廃の動きと家族観
3 年金制度体系見直しの動き
4 課税単位をめぐる議論
5 ケアワークの社会化と私事化
6 拡大する女性労働と雇用平等
7 低成長への転換と家族単位モデルの堅持
第3章 性差別撤廃のうねりと「戦後家族」の強化―1980年代―
1 1980年代の社会状況
2 「戦後家族」体制への異議申し立て
3 年金改革と「女性年金権」確立
4 配偶者特別控除の創設
5 転換期のケアワーク
6 男女雇用機会均等法の成立
7 変わる国際環境と家族単位モデルの強化
第4章 少子化の衝撃とジェンダー平等への志向―1990年代―
1 1990年代の社会状況
2 家族の変容と変わる家族観
3 財政構造の悪化と年金改革論議
4 控除見直しをめぐる議論
5 「1.57ショック」とケアワーク
6 多様化する労働と改正雇用機会均等法
7 家族単位モデルの動揺と改革の予兆
終章 ジェンダー公正な社会をめざして
1 家族単位モデルに依拠する日本の公共政策
2 現状の何が問題か
3 ジェンダーの主流化
4 ジェンダー公正な社会をめざして
注
参考文献
あとがき
索引
内容説明
本書は、日本の女性に関わる公共政策が、総体として「一定の家族モデル」をもとに構築、展開され、状況に応じて変遷してきたことを実証し、それら公共政策の特質をジェンダーの視点から明らかにすることを目的としている。戦後の社会状況の変化は、第一に家族の構造・構成の変化、第二に女性の就労状況の変化、第三に男女平等社会への志向、である。これらの社会的変化と公共政策、家族と女性の相互関係を視野に入れ、様々な公共政策がどのように交錯し、女性の社会的地位に影響を与えてきたのかの解明を試みる。
目次
序章 公共政策のジェンダー分析に向けて
第1章 経済成長と「戦後家族」の確立―1945年~1960年代
第2章 男女平等の胎動と「戦後家族」の揺らぎ―1970年代
第3章 性差別撤廃のうねりと「戦後家族」の強化―1980年代
第4章 少子化の衝撃とジェンダー平等への志向―1990年代
終章 ジェンダー公正な社会をめざして