出版社内容情報
もうひとつの近代精神
<知>ト<政治>の二つの世界から人類の救済を目指したベイコンの曲折にみちた生涯をたどり、その<知>の方法が、現代のかかえる深刻な問題に解決の糸口を与えうる可能性を展望する。
内容説明
「知」と「政治」の二つの世界から人類の救済を目指したベイコンの曲折にみちた生涯をたどり、その〈知〉の方法が、現代のかかえる深刻な問題に解決の糸口を与えうる可能性を展望する。
目次
第1章 政治家への道 1561‐79
第2章 政治的思考の形成 1579‐92
第3章 挫折の中から―もうひとつの世界を模索して 1592‐1603
第4章 知の世界の革新を目指して 1603‐7
第5章 ソロモンに仕える獅子として―法律家ベイコン 1607‐15
第6章 大法官ベイコン―生命よりも義務を選んで 1616‐21
第7章 政治の舞台から降りて 1621‐26
むすび もうひとつの近代精神
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
白義
6
フランシス・ベイコンの思想もまた、彼の政治家としてのキャリア、経験と切り離しがたいようだ。徹底的なインサイダーとして、論争や分裂の調停と調整に務め、政治的工作もいとわなかったリアリストだからこそ、プラグマティックな合理主義が芯まで貫かれている。いかに知識や精神を実践に役立つように慣らしていくか、という圧倒的な実践思考は今の哲学には少ない健全さを感じる。また、近代科学の勃興と共にSF的な夢想小説を書いているのも見逃せない。近代はデカルトだけでなく、ベイコンの中にもその根源がある2013/06/28