内容説明
ブルクハルトは、不朽の名著『イタリア・ルネサンスの文化』によってわが国でつとに知られている。文化史家であるばかりでなく、西洋美術の全域に通暁した美術史家でもあった。とりわけ『世界史的考察』における犀利な文明批評は、20世紀にたいする予見また警告として近年注目の的となっている。
目次
1 バーゼルの聖者
2 ロマンティックな遍歴
3 過渡期の状況
4 美の園への招待
5 近代文化の原像
6 危機の予見者
7 ブルクハルトとニーチェ
8 明朗なペシミスト
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
叛逆のくりぃむ
4
フリードリヒ・ニーチェが彼を私淑したことはよく觸れられてゐるが、それがブルクハルトの側にとつては有難迷惑以外のなにものでもなく、ニーチェとの思想との相違性が明らかになつてゐる。2014/04/01
ロラン
2
なぜレポート課題でこの本を読まされるのか疑問に思いながら読み進めたにも関わらず、面白くて一気に読んでしまった。ブルクハルトなる歴史家のことはよく知らずとも、近代史学の祖ランケを師にもち、バーゼル大学にて年下の気鋭の同僚として文献学者ニーチェをもつと言われれば、おのずと興味をそそられまいか。権力やロマンティシズムと距離をとり、晩年まで美術史に関心を抱き続けたその姿勢は、高潔な大学人の見本のようだ。ニーチェのような才能を受容しきれないのが彼の器量の限界だったようだが、そこがまた人間的でもある。2017/05/01