出版社内容情報
東洋思想の源泉インドと西洋思想の源泉ギリシアとの思想的潮流の交渉を,仏教僧とギリシア人との対話を収めた『ミリンダ王の問い』等をもとに,はじめて考察した画期的労作。
内容説明
真理を求める対話。仏教を始めとするインド思想は我々の想像以上に西方世界に影響を及ぼしていた。歴史の闇に埋もれた知られざる交流の軌跡を明るみに出す。
目次
第1編 思想交流の動き(思想交流の歴史的社会的基盤;インドにおけるギリシア的思惟との交流;ギリシア人の紹介したインド思想;西に流れたインド思想)
第2編 思想的諸問題(思想の自由;個人存在;実践;知識の問題;結論)
付編 インド思想に感激した近代西洋の思想家たち
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
鏡裕之
1
キリスト教的な神と、仏教の仏の違いがよくわかる。たとえば神と人との間には大きな断絶があるが、仏と人との間は究極的には区別がない。区別がないから、悪人でも救われれば仏となることができる。仏教の非常に寛容的な態度、対して非常に厳しく、選別を行なうキリスト教との違いがわかる。2014/04/01
Sin'iti Yamaguti
0
「西洋中世の宗教と仏教」(348-372頁)が興味深かった。キリスト教はひょっとしたら、イエスが創始した宗教ではなく、仏教を含む諸宗教の影響を受けて徐々に形成されていった、という説はどうだろうか。折しも、幸徳秋水『基督抹殺論』を読んで、イエス・キリストは実在の人物ではない、というのは荒唐無稽ではなくかなりの説得力を持つと感じたこともあり、イエス伝に仏伝の影響をみることも可能であろう。2023/10/19