内容説明
本書は、病める心の処遇の歴史を中世から19世紀までたどり、世紀末ウィーンの社会的―文化的状況にもふれて、精神分析誕生の背景を見事に描きだすと同時に、何故にジャネの無意識ではなくフロイトの無意識が、フロイト以前の性科学ではなくフロイトの性理論が人間科学に革命をもたらすために必要であったかを鮮やかに浮かびあがらせて、「フロイトの独創性は神話である」という近年のおしゃべりに終止符を打つ。
目次
序論 精神分析の百年
狂気の世俗化
悪魔憑きの医学化
再神秘化対科学化
リエボー、ベルネーム、シャルコー 催眠と医師の権力
精神分析の前地における「神経衰弱の近代的治療」
ピエール・ジャネと無意識の発見
ベルタ・パッペンハイムあるいは医師―患者―関係の逆転
フロイト―了解のための奮闘と概念把握の厳密な科学性
解釈学的経験科学の前段階
無意識
性
ある幻想の終わり―出来事の診断から体験の分析へ