出版社内容情報
三つの文明が交差し展開する数千年を、現在と過去の自在な往還によって語る新史学テーマ別論集。
内容説明
三つの文明が交差し展開する数千年を、現在と過去の往還により描く。この地域の奥深さを伝えるテーマ別論集。
目次
陸地(フェルナン・ブローデル)
海(フェルナン・ブローデル)
夜明け(フェルナン・ブローデル)
ローマ(フィリッポ・コアレッリ)
歴史(フェルナン・ブローデル)
空間(モーリス・エマール)
著者等紹介
ブローデル,フェルナン[ブローデル,フェルナン][Braudel,Fernand]
1902年フランスのムーズ県に生れる。1923‐32年アルジェリアで官立高等中学校の教員をつとめる。1932‐35年パリの官立高等中学校に勤務、このころリュシヤン・フェーヴルに出会い、師事する。1935‐37年サンパウロで教職につく。1937年から高等研究学院に勤務。1946年「年報―経済‐社会‐文明」の編集委員となり、1956年フェーヴルのあとを承けて編集長となる。同年高等研究学院第六セクション委員長
神沢栄三[カミザワエイゾウ]
1930年生まれ。1959年、東京大学大学院満期退学、中世フランス語フランス文学専攻。名古屋大学名誉教授。1998年歿(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Francis
15
10年以上前に買ってあって積読していたのをようやく読了。しかしこれが実に面白かった。ブローデルの名著「地中海」の要約としても十分読めるのではないか。歴史は本当に面白い、ということを改めて分からせてくれる。2018/04/12
中島直人
9
(図書館)地中海をめぐる、地理、歴史、文化、諸々の観点からの考察というよりエッセー?。流れるように読めて面白い。また読んでみたいという気にさせてくれる。2016/09/08
roughfractus02
8
ブローデルに加え複数の著者が地中海世界を描く本書は、夏は穏やかだが冬は嵐を起こすこの海の「空間の歴史」とそこに現れるヴェネチア等都市間を流通する人、モノ、宗教、資本、文化の空間変動に、エジプト、クノッソス、ミュケナイからフェニキア、ギシリアへ、さらにローマの興亡からビサンチン帝国のオリエントや北アフリカの征服へ移る時間変動を重ねる。一方、常に外部を指示するこのネットワーク的歴史は、海を歴史対象にするのは可能かという問いも生む。歴史の3層構造は、科学同様歴史を仮説として検証と反証の対象にしたのかもしれない。2019/07/04
greenman
8
ブローデルたちは、地中海世界を「空間と歴史」と「人間と遺産」に分類し、様々な角度から地中海を分析していく。地中海世界とは無数の景観と、いくつもの海の連続と、互いに層をなすいくつもの文明から成り立っている。今地中海は三つの文明・・・カトリック・ギリシャ正教会・イスラム・・・で構成されているが、文明それ自体は必ずしも歴史全体にはなりえない。時間、空間、文明、政治、経済、文化、慣習、芸術などあらゆる要素の相互の影響と結果こそ歴史になるのだろう。地中海はそれらを受け入れ、産み育ててきた豊穣の海なのだ。2010/02/22
うた
5
世界史でも最も古い海、地中海。陸地、海、歴史について。気候や風土、歴史上の出来事の良否を考えるのではなく、それらがどんな風に結びつき、変化もしくは維持されていったのかを辿ること。文明とは何か。こういうものの見方を“歴史観”というのだろう。テレビ番組をまとめたものらしいが、前半のブローデルの手になるエセーが文章、構成ともに良い。2014/02/24