内容説明
本書は、作家論と“イメージの周辺”を扱った批評的エッセー18篇を収める。母親の死を契機に自らをプルーストの体験に重ね合わせて語る興味深いプルースト論、バタイユ文学への深い理解に満ちた「テクストの出口」、惜しくも遺稿となったスタンダール論をはじめ、大学制度批判としての「作家、知識人、教師」「ゼミナールに」、またミシュレやブレヒトの再読、さらに無名のF・Bやサルドゥイ、ルノー・カミュなど、わが国に余り知られていない作家の選び方も刺戟的である。執筆された時期、対象となった作家や思想の多様性のために本書の18篇は、バルト自身の多様性と思考の流れ、さらには現代という時代の多様性を知るのに恰好のエッセー集となっている。
目次
第1部 レクチュール(削除;ブロワ;今、ミシュレは;ミシュレの現代性;ブレヒトと言述―言述研究のために ほか)
第2部 イメージの周辺(作家、知識人、教師;ゼミナールに;周期的に行われる訴訟;イメージ;省察)
著者等紹介
バルト,ロラン[バルト,ロラン][Barthes,Roland]
1915年フランスのシェルブールに生まれ、幼年時代をスペイン国境に近いパイヨンヌに過す。パリ大学で古代ギリシア文学を学び、学生の古代劇グループを組織。結核のため1941年から5年間、スイスで療養生活を送りつつ、初めて文芸批評を執筆する。戦後はブカレストとアレクサンドリアでフランス語の講師、その間に文学研究の方法としての言語学に着目、帰国後、国立科学研究センター研究員、1954年に最初の成果『零度のエクリチュール』(邦訳、みすず書房、1971)を発表。その後、エコール・プラティック・デ・オート・ゼチュードのマス・コミュニケイション研究センター(略称セクマ)教授を経て、1977年からコレージュ・ド・フランス教授。1980年歿
沢崎浩平[サワサキコウヘイ]
1933年東京に生まれる。1957年東京大学文学部仏文学科卒業。1966年東京都立大学大学院博士課程修了。元東京都立大学人文学部教授。1988年歿
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