文芸にあらわれた日本の近代―社会科学と文学のあいだ

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文芸にあらわれた日本の近代―社会科学と文学のあいだ

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  • サイズ B6判/ページ数 221p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784641162198
  • NDC分類 910.26
  • Cコード C1033

出版社内容情報

文士たちは日本の近代をいかに捉えてきたのか──文学者の豊かな直観や鋭敏な観察,時代認識を明らかにしながら,経済学がもつべき現実との距離感,多面的な視点,時間を考慮に入れた観察などを考察する。博覧強記をもって知られる著者の練達の筆が冴えわたる渾身作。
目次
序 章
第1章 自然・伝統・産業化:武田泰淳『鶴のドン・キホーテ』
第2章 恋と革命:太宰治『斜陽』
第3章 世論に敗れたワンマン経営者:三島由紀夫『絹と明察』
第4章 日米関係悪化の中で:永井荷風『あめりか物語』
第5章 デモクラシーの行方:谷崎潤一郎『痴人の愛』
第6章 グローバリゼーションと反帝運動:横光利一『上海』
第7章 急成長と過当競争の歪み:小林多喜二『蟹工船』
第8章 独立した合理的な個人?:大岡昇平『野火』
第9章 歴史と偶然性:山田風太郎『戦中派不戦日記』
第10章 相対主義ではなく多元論を:夏目漱石『文芸の哲学的基礎』

内容説明

モデルからストーリーへ。文士たちは「日本の近代」をいかに捉えてきたのか―文学者の豊かな直観や鋭敏な観察、的確な時代認識をつぶさに読み取りながら、社会科学が本来もつべき多面的な視点、時代認識力、ストーリー的把握を探究する。博覧強記をもって知られる経済学者による待望の渾身作。

目次

序章 モデルとストーリーのあいだ
第1章 自然・伝統・産業化―武田泰淳『鶴のドン・キホーテ』(一九五八年)
第2章 恋と革命―太宰治『斜陽』(一九四七年)
第3章 父性の敗北―三島由紀夫『絹と明察』(一九六四年)
第4章 日米関係悪化の中で―永井荷風『あめりか物語』(一九〇八年)
第5章 デモクラシーの行方―谷崎潤一郎『痴人の愛』(一九二五年)
第6章 グローバリゼーションと反帝運動―横光利一『上海』(一九二八~三一年)
第7章 急成長と過当競争の歪み―小林多喜二『蟹工船』(一九二九年)
第8章 独立した合理的な個人?―大岡昇平『野火』(一九五二年)
第9章 歴史と偶然性―山田風太郎『戦中派不戦日記』(一九四五年)
第10章 相対主義ではなく多元論を―夏目漱石『文芸の哲学的基礎』(一九〇七年)

著者等紹介

猪木武徳[イノキタケノリ]
1945年生まれ。1968年、京都大学経済学部卒業。1974年、マサチューセッツ工科大学大学院博士課程修了。大阪大学教授を経て、現在、国際日本文化研究センター教授。専攻は労働経済学、経済思想、日本経済論
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

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むっち

2
本論とは関係ないけど、お父さんが終戦直前は、和平とつけようと考えていたけど、終戦になった途端に平和ムードに抗して武徳とつけたという自己紹介のエピソードが妙に頭に残る。今の時代みなが右へなれとなり、アベノミクスや憲法改正を唱え出すとき、あらためて冷徹な目でじっくり考えましょうという態度をとられるのではないかという気はする。筆者の視点から文芸に表れたその時代の意識をよみとること、人間は合理的な生き物であるという前提で出発することの危うさなど、文芸批評を通じて筆者の社会科学の方法論(人間の味方)を展開されている2013/04/14

denken

0
こんな風に文学を読みこなせたなら,どんなに楽しいことか。中高の頃に何も背景を知らずに読んで,まったくつまらなかった作品も,今読んだら少しは面白いのかもしれない。内容は題名の通りと言うしかない。そのままの題名である。2009/10/31

Peter-John

0
中学高校の2年先輩が書かれた本。 社会経済学分野の膨大な知識に裏打ちされたエッセイ集です。最初に立場や方法論が開陳されます。ここで残念なのは解釈学に触れられていないことです。解釈学は古典や聖書のテキスト解釈から発生した哲学です。 中身は成功しているのもあれば、いまいちのもありました。2019/09/09

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