内容説明
大陸侵攻において、豊臣秀吉は前線の諸大名に決定権を与えず、日本からの軍令で指示を出した。軍令が届くまでの「時差」は、戦局にどのような影響を及ぼしたのか。軍令を分析して戦争の変容を解明、侵攻を体系的に叙述する。
目次
1 大陸侵攻の始動(九州平定と海外への服属要求―我朝の覚に候間、高麗国王参内の旨、仰せ遣わされ候;「征明」を期して―この度大明国へ御動座)
2 侵攻の緒戦(秀吉の名護屋入城―今日、名護屋へ御着座;漢城の陥落と国家拡張計画―大唐都へ叡慮うつし申すべく候;秀吉の渡海見送り―御渡海御延引ならるべき旨、達って言上候)
3 戦局の転換(秀吉渡海計画の再編―来春三月、御渡海;軍勢の再編制と戦線の見直し―先手の者共、都へ引き取り候由に候;明使節の来日―大明国より御侘び言申し上げ)
4 講和交渉の推移(在番体制と秀吉の凱旋計画―九月十日ころに、なこやをたち申すべく候;在番体制の継続―長々在陣辛労に思し召し候;講和交渉をめぐる明国・朝鮮・日本―大明の鈞命に依り、朝鮮国を恕宥せしむ)
5 慶長の再派兵(再派兵の軍令―赤国残らず、悉く一篇に成敗申し付け;朝鮮半島への固執―焼き動きにりやうとう境目までも、仰せ付けらるべし;最後の和平工作と将兵の撤退―諸城を引き払い、釜山浦へ相集まり、其れより帰朝あるべき軍)
著者等紹介
中野等[ナカノヒトシ]
1958年福岡県嘉穂郡に生まれる。1985年九州大学大学院文学研究科博士後期課程中退。柳川古文書館学芸員を経て、現在、九州大学大学院比較社会文化研究院教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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