内容説明
川路聖謨。対外関係の緊迫した幕末、ロシアの国境画定要求を巧みに処理し、寸土を譲ることなく日露和親条約の締結を成し遂げた幕府吏僚の俊秀。軽輩の家から立身して勘定奉行に栄進し、海防事務に参与したが、安政の大獄に坐して隠居、江戸開城の決定を知りピストルで自尽するに至る。その才腕を示す業績の全般と幕臣としての信念に生きた生涯を克明に描く。
目次
誕生
旅だち
清貧と勉学
川路家の養子に
猛烈な就職運動
幕府出仕
結婚
初めての出張―江州庄・高木両村
仙石騒動
勘定吟味役に抜擢
宰相の死
大塩平八郎の乱
西丸炎上と木曾出張
四度目の結婚〔ほか〕
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
アンコ椿
1
霞ヶ関の官僚どもよ、川路を見習え! 塩で睾丸を洗う、拙者も試してみよう。2012/11/13
露傍の石
1
プチャーチン提督をして、その才を絶賛せしめた幕吏・川路聖謨。才覚と誠意に満ち溢れた此の人の足跡を知るにつれ、人材こと最高の資源だと再認識する。そしてその不遇の晩年に、一読者として悔しくて仕方が無い思いに駆られる。例えばこの時代にあって、拷問を控え更生を促し、罪人に施しを行ったという事実一つとっても、単なる慈悲の人という以上の、時代の先を行く魅力的な才に感嘆する。2010/06/01
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- 和書
- 水辺の環境学 〈続〉