憑きもの持ち迷信―その歴史的考察

憑きもの持ち迷信―その歴史的考察

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  • サイズ B6判/ページ数 184p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784750312163
  • NDC分類 387
  • Cコード C0021

出版社内容情報

“あの一族は狐をもっている。”山陰地方に今も残る,いわれなき偏見と差別。その形成過程と実態を,一族出身の著者が,歴史学的,民俗学的視座から精緻に考察。近代日本の差別意識を読み解く名著。

序文[柳田國男]/序[恒松安夫]
一 私はなぜこの本を書かねばならないか
二 人権を脅かす憑きもの持ち迷信残存の実例
三 憑きもの持ちの類別とその性格
四 文献にみる狐持ちの起源と最近の実態
五 憑きもの持ち迷信の歴史的基盤
六 結論
解説[内藤正中]

内容説明

わが国に残っていますいろんな俗信のうち、社会生活に害悪を及ぼすものを迷信と申します。その最たるものが狐持ち迷信で、近世の中ごろ出雲で起こり、伯耆・隠岐島前地区に伝播。今日でも自由な結婚を阻害するものとして、根強く残っているのは、いかにも残念であります。これまで、いろんな解明や提訴などが行われ、いわゆる狐持ち史料は莫大なものが残されています。そこで図らずも、狐持ち史料集編さんの声があがってまいりましたが、それに関連して、『憑きもの持ち迷信―その歴史的考察』が、改訂されることになりました。

目次

1 私はなぜこの本を書かねばならないか
2 人権を脅かす憑きもの持ち迷信残存の実例
3 憑きもの持ちの類別とその性格
4 文献にみる狐持ちの起源と最近の実態
5 憑きもの持ち迷信の歴史的基盤
6 結論

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ROOM 237

11
昭和28年初版の改訂版。出雲地方の狐持ち家系当事者である著者が迷信を撲滅すべく纏めた本書は、白米(狐持ちではない家)との結婚が許されず、村八分や縁切りなどの苦労が記されている。狐持ちの発祥を解き明かしていく中盤以降はノンフィク時代モノなので、日本史好きな方は抵抗ないかと。また、狐憑きに地主や豪家が多いと言われる理由は封建的な農村の社会性にキーワードがあり、精霊信仰を利用した祈祷師にも言及。狐以外にも蛇、河童、犬神にも若干触れている。繊細な問題なので感想は控えておきます…。2020/03/23

kunugi

3
筆者自身が憑き筋であるという事実を、少し言葉は悪いが「利用」することにより、口を閉ざしがちな憑き筋の人々から情報を集めたり、自らの家系を遡ったりして筋形成の原因を探るなど、一般の研究者からしてみれば半ば「裏技」的な方法によって集められたデータがひたすらに貴重。一貫して主張される、筋形成の原因が「江戸中期の貨幣経済発展期における、地域内の富の偏在」にあるとする考え方は、引用される史料が少ないこともあってやや牽強付会な印象を受けるが、その分非常に明快であり、迷信打破を標榜する著者の熱意がひしひしと感じられる。2010/06/26

リョウ・アズナブル大佐

0
面白かった。。憑き物持ち筋とは『狐や犬の霊を使って他人に害を与える家系』の事で、主に地主が多かったとは。明治維新が終わって封建体制が終わったにも関わらず土地革命を行わなかった事により、一層生活が厳しくなった一般の人達が妬んで付けた蔑称という事みたい。現実的な話が多く、期待していた呪いのやり方とかじゃなかったのも良かった。これから先、社会基盤自体がひっくり返るような事はそうそうないけど、今まで通りやっている事が逆怨みを買うようになるっていうのは怖いなぁ2015/05/21

noname

0
当事者による研究というのが重要。2008/08/05

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