出版社内容情報
虐待問題の理解と対策のため、福祉・医学・法律の各分野の専門家がわかりやすく解説。虐待の定義・要因、防止・治療の方法、虐待に起因する疾患・症状、英米の主な法律・米連邦最高裁判決・国際条約、主要国の現状、英米の虐待防止団体など464項目を収録。
子どもの虐待、養育放棄(neglect)には、多くの異なる局面がある。子どもの虐待については、身体的暴力の観点でしか考えないことが多い。けれども、さまざまな形態の心理的脅迫、強制、性的搾取、あるいは民間療法でさえも深刻な被害を及ぼし、長い間存続するのである。子どもの虐待ないし養育放棄として分類される行為の範囲は、社会的・経済的条件、政治的イデオロギー、医療の進歩、通信の発達、文化の融合の結果絶えず変化している。虐待について、単一の、明示的な、普遍的に受容された定義が存在しないので、その研究は難しくなる。けれども、子どもの虐待と養育放棄は、文化的発明というだけのものではない。子どもが置かれている窮状に対する国際的関心が高まるにつれて、虐待や養育放棄の防止に心を砕いている者は、協力できる共通の土俵をますます多く見出すようになっている。
本百科事典は、この問題を定義し、防止し、取り扱うための闘争の反映である。掲載項目は、特定学問の内部での議論および学際的な議論の範囲と共に、子ども虐待行為を理解することに寄与する、多様な学問(法学、医学、心理学、社会学、経済学、歴史学、教育学、その他)を反映している。特定事項に関して