内容説明
公共財の理論に関していえば、市場機構をつうじて供給することが困難な財については公共部門が供給すべきであるという論点に依拠し、公共財の供給量や、費用負担の方法・規模についての分析が行われてきた。公共財に関する議論は広範に及び、多くの問題領域を含むものであるが、公共財理論の中心的な課題は、市場均衡理論の限界を克服するために、公共財を組み入れた資源の効率的配分の理論を構築することである。本書はこのような問題意識のもとで、資源の効率的配分という視点を中心にして、これまでの公共財理論を問題領域にしたがって整理し考察することにより、それらに含まれる問題点と有効性を明らかにすることを課題とする。
目次
第1部 公共財供給理論の展開(公共財の最適供給と外部性;公共財の競争的供給;公共財便益の配分基準 ほか)
第2部 家計への所得移転の効果(家計への移転給付と消費選択;失業給付の失業期間・失業率に及ぼす効果;社会保障年金と労働供給 ほか)
第3部 公共投資基準―費用・便益分析(公共投資計画と費用・便益分析;予算の制約と公共投資計画;費用・便益分析における社会的割引率の選択 ほか)