内容説明
一橋大学大学院社会学研究科総合社会科学専攻では、大学院重点化を機に、二〇〇〇年度からプロジェクト型の授業科目「先端課題研究」を新設し、三か年計画のプロジェクトを毎年一つずつスタートさせることにした。本書はその最初のプロジェクト「企業社会日本の変容」を母体にした研究成果である。本共同研究は、九〇年代以降大規模な再編にさらされ変貌しつつある現代日本社会と政治の様相を、それが確立した高度成長期の構造との歴史的比較において、また他国との比較において明らかにすることをめざした試みである。この共同研究のテーマを「変貌する“企業社会”日本」と題したのは、本研究会参加者のなかに、さまざまな意見の相違はありながら、日本社会と政治のありようを大きく特徴づけているのは、高度成長期に形成・確立された企業社会の構造にあり、日本社会で現在進行中の変化もこうした既存日本社会の中心をなしてきた企業社会の再編と変貌を基盤にして生じているのではないか、というおおまかな想定と合意があったからである。こうした想定のもとに、現代日本社会の各領域に及んでいる変貌に焦点を当てて行なった三年間にわたる研究の成果が本書である。
目次
総論 開発主義・企業社会の構造とその再編成
第1部 開発主義・企業社会の再編と政治(開発主義の終焉か、新しい開発主義か―誰のために「開発」は語られるのか;政治改革から保守二大政党制へ―開発主義国家体制の再編とその困難;二つの新自由主義と財界;日本企業による労働者意識統合の現段階;新自由主義改革と地域スポーツの行方)
第2部 階層化と社会統合(家族と企業社会―歴史的変動過程;「新・競争の教育」と企業社会の展開)
第3部 開発主義と企業社会―比較の視座から(東南アジアから見た日本の企業社会と開発主義;アメリカ企業社会の形成―フェアディールの挫折とその意味)
著者等紹介
渡辺治[ワタナベオサム]
一橋大学大学院社会学研究科教授・政治学、日本政治史、憲法学
浅見靖仁[アサミヤスヒト]
一橋大学大学院社会学研究科助教授・東南アジアの政治経済、比較政治学
尾崎正峰[オザキマサタカ]
一橋大学大学院社会学研究科教授・スポーツ社会学、生涯学習・社会教育論
菊池信輝[キクチノブテル]
一橋大学大学院社会学研究科助手・政治学、戦後日本政治史、政治社会学
木本喜美子[キモトキミコ]
一橋大学大学院社会学研究科教授・家族と労働の社会学
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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