内容説明
鴎外歴史小説研究の新時代を予感させる激震の書が出た。本書に触れずに今後論が書けるか。「歴史其儘」の内実を抉って、「文芸」として蘇らせた感動の書が出現。
目次
「興津弥五右衛門の遺書」への一視角―初稿文の「あとがき」の読みを通して
「興津弥五右衛門の遺書」(初稿文)考―ジレンマを綱渡りした鴎外の熱意の底
「興津弥五右衛門の遺書」の改稿―弥縫の「整理」の果て
「阿部一族」考―図り得ない「自然」と「意地」の相剋、陥穽について
「阿部一族」考―柄本又七郎形象の問題検討を通して
「阿部一族」補考―佐々木充の「阿部一族」論を読んで
「佐橋甚五郎」を語る―「論」を書けない理由の「佐橋甚五郎」観
森鴎外作「堺事件」論考―「堺事件」論争の詳細な検討を通して
ペンが重くて―大岡昇平氏のことを
歴史転換時での混乱と傷痕―森鴎外の『堺事件』の作品性と史的命運
嘉部嘉隆著『森鴎外―初期文芸評論の論理と方法―』を読んで(抄)