内容説明
ファシズムは突然変異の怪物ではない。それはヨーロッパ精神の土壌に根深く脈打つ反ユダヤ主義と、ナショナリズムの結合の結果産まれたものである。近代的国民国家にとって、常にその躓きの石となってきたナショナリズムを、本書は西欧近現代の裏面史に縦横に跡付けた。われわれは如何にしてこれを乗り超えることができるのか。フランス革命の精神を継ぐ“開かれた”ナショナリズムにその可能性を探る。近代の裏面史。
目次
第１部 ナショナリズム
第２部 反ユダヤ主義
第３部 ファシズム
第４部 ナショナリズムをめぐる群像
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Yosuke Saito
1
近代フランスのこれまで注目されてこなかった暗部ともいえる部分に焦点を当てた労作。いわゆる「自由、平等、友愛」の諸原理を掲げて戦ったフランスを光とするなら、本書は、国家解体への恐怖ゆえにおこった「排他的ナショナリスム、反ユダヤ主義、ファシズム」という影、もう一つのフランスを明らかにしていくのである。2011/12/03
