出版社内容情報
西欧人から土民と蔑視されても、日本人には西欧人にはない良い点もあるのだ。誇りを持って独自の文化を追い求めようと訴えたこの声は、二流西欧人に甘んじようとする我々に何を求めているのか。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ダイキ
3
「維新の文字は、大切に保存されてゐるけれども、その情熱は、ただの防衛にのみ向けられて、新しい歴史の前進のための構想についても、実践についても見るべきものがなくなつた。〔略〕世界の革命運動は、すべてモスクワに集中し、民族解放の運動もまた〔略〕いまや東京を顧みるものがないやうになつた。〔略〕日本の国体をもつて、世界の自然法のもつとも見事なる表現であると確信し、これを世界の革命家や独立の志士に説き、〔略〕新進気鋭の士を、ひきつけた維新日本の面目は、いま見る影もない。」(『右翼の先蹤(維新と革命)』)2020/12/03
半木 糺
1
本書の序文に以下のように葦津は記す「土民は能弁でなく、華々しい理論の展開に巧みではないかもしれない。しかし私は、日本の土民であることに誇りを感ずる」。安保闘争、学生運動、浅沼事件、自衛隊問題等、幅広い問題が本書では登場しているが、いずれも葦津は「日本の土民」としての立場からこれらを論じている。グローバリズムという怪物が世界を覆い、あらゆる既存の体系・思想が大きく揺らいでいる現在、我々の生きる道は、葦津のように自らを「土民」として規定する以外にないのではないか。2016/12/07