内容説明
本書は、李商隠・温庭〓・杜牧という晩唐の三大詩人について、政治的社会的情勢、個人的な人間関係・家庭環境等、いわば彼らの創作活動を宿命的に方向づけた客観的要因の共通点と相違点を比較検証し、ついでこの三者が、かかる客観的要因に多かれ少なかれ妥協しながらも三者三様にこれに対応した言行・心情等からそれぞれの個性的要因を探り出して、文学作品にどのように投影されているかを分析吟味し、この三大詩人がそれぞれ如何に独自な文学世界を創出したかを究明する。
目次
第1章 政局と詩人
第2章 李商隠・温庭〓―両者における妓女・女道士の作品と恋愛観の相違
第3章 李商隠と杜牧―両者における女性の捉え方・恋愛観と憂国意識の相違
第4章 李商隠・意識の私的世界への凝集―悼亡詩を中心に
附論 唐代の新孟光考