内容説明
昭和初期、わが国では大規模な合併が行われた。周辺部となった村は寂れ、過疎にあえぐ集落が無数に生まれた。中には、高齢化率九〇%を超える「超高齢集落」さえある。今回合併がなされれば、新たにまた、無数の集落が地図から消えていく。国の大号令のもと、日本全国で「平成の大合併」の嵐が吹き荒れている。本書は、現状を検証しつつ、合併の落とし穴を多角的に検証する。
目次
第1部 ドキュメント・リポート―市町村合併に抗うムラの論理(迷走する合併論議―「あめとむち」に翻弄されて;赤ちゃんの消えたムラ―合併から四十六年、瀬戸内町、喜界町のその後;周辺部になった村の悲哀―ゴミだけがやって来た!隼人町、姶良町の検証)
第2部 検証―合併論議の落とし穴(自治を奪う国家戦略―住民自治の原理に立ち返って;あいまいな合併メリット―住民の判断材料となる情報とは何か;「地方分権」そのかけ声の行方―戦後経済と合併論議;町財政の合併シミュレーション―さらなる財政悪化を招く特例債;最小単位の自治の復活を―田舎暮らしの現場から ほか)
著者等紹介
久岡学[ヒサオカマナブ]
1960年、鹿児島県徳之島・天城町生まれ。駒沢大学法学部卒。南海日日新聞報道部勤務。名瀬市政担当、沖永良部総局勤務等を経て現在は県政、農政担当
続博治[ツズキヒロハル]
1956年、熊本県生まれ。鹿児島大学法文学部卒。隼人町議会議員、姶良ユニオン書記長。地方議員と市民で構成する「虹と緑の500人リスト運動」会員。「地方議員と市民の政策研究会」呼びかけ人
平井一臣[ヒライカズオミ]
1958年、宮崎県生まれ。九州大学大学院法学研究科博士課程単位修得退学。鹿児島大学法文学部教授
河原晶子[カワハラアキコ]
1947年、滋賀県生まれ。立命館大学大学院社会学研究科博士後期課程修了。志学館大学文学部助教授。専門分野は、地域社会学、都市社会学、都市政治学
皆村武一[ミナムラタケイチ]
1945年、鹿児島県沖永良部島・和泊町生まれ。九州大学大学院経済学研究科博士課程単位修得退学。鹿児島大学法文学部教授。専門分野は、国際経済システム、経済発展論
前利潔[マエトシキヨシ]
1960年、鹿児島県沖永良部島・知名町生まれ。琉球大学法文学部卒。知名町職員労働組合。沖永良部郷土研究会副会長。コンサート企画やCD制作(『沖永良部の交響詩/創世神話「島建シンゴ」』)などの活動も行う
歌野敬[ウタノケイ]
1951年、熊本県生まれ。大阪市立大学経済学部卒。73年、就職情報会社の創業に参加。86年退社後、五島列島に移住。94年、田舎暮らしネットワークを旗揚げする
土井裕之[ドイヒロユキ]
1971年、埼玉県浦和市(現さいたま市)生まれ。川口北高校を卒業後、『市民じゃ~なる』を中心に市民運動に参加。埼玉県地方自治研究センター事務。合併問題に取り組む過程で1999年の浦和市議に立候補し当選。2001年4月、「合併に伴う議員の在任特例制度」の適用に問題提議のため、辞職。現在は地域から社会の改革へ向けて活動を続けている
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