出版社内容情報
「はじめに、ことばがいた。」ヨハネ福音書の新訳に挑戦した経験を踏まえ、新しい読み方を提案する。イエスの謎めいた語り口の秘密とは、「光」の霊的経験とは…ヨハネのイエスは、共に生きて働いているというリアリティをつねに伝えていた。
内容説明
ヨハネ福音書のイエスは、なぜ謎めいた仕方で語るのか。「世の光」とは、どんな世界観と自然観を前提として言われているのか。この福音書を育んだ共同体とは、どのようなものだったのか。「はじめに、ことばがいた」―福音書の新訳に取り組んだ経験を踏まえて、著者の独自の読みと、さまざまな発見とを語る。ヨハネにとってイエスは、何よりもまず、「共にいる」ことがリアルに体感される復活者の名であった。福音書のことばの森に分け入って、愛・聖霊・光の語を生きた意味で満たしている霊的経験をよみがえらせる。
目次
1 生きている復活者(「神の子キリスト」―日常生活における復活者の臨在;「はじめに、ことばがいた」―イエスとの最初の出会い;「父が私を遣わした」―イエスの権能の根拠;「ことば」「光」「生命」―キリスト者の生き方への示唆)
2 イエス物語の仕かけと背景(「見たことがないのに信じる人々は幸いだ」―「見る」ことと「信じる」ことの意味;「謎めいたかたちで語る」―読者に戸惑いを与えることの真意;「活ける水」―サマリアでの逸話が示唆するもの;「イエスが愛していた弟子」―キリスト者の理想像)
3 ヨハネの「世」―自然観と社会観(「世は彼を介してできた」―ヨハネ福音書の「世界」観;「自分たちの罪のうちに死ぬであろう」―ヨハネ文書における「罪」の概念;「もう一人の弁護者」―ヨハネ福音書における生霊の経験)
4 ヨハネ教団(「互いに愛し合いなさい」―信仰と愛の共同体;「私が良い牧者」「私が蔔萄の木」―イエスとキリスト者との結び)
著者等紹介
小林稔[コバヤシミノル]
1946年、兵庫県生まれ。66年、イエズス会入会。上智大学文学部哲学科を経て、東京大学大学院人文科学研究科西洋古典学専攻に入学。78年、同大学院博士課程満期退学。専攻、新約聖書学。現在、上智大学神学部教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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