内容説明
昆虫、キノコ、魚など、地球上には数万種の「光る生きもの」がいる。生物はいつ、どうやって光る能力を手に入れたのか。光を使った驚きの生存戦略とは。発光のしくみを解明し、進化の道筋を巻き戻していくと、舞台は暗闇に満ちた太古の深海へ。生物が放つ光に魅せられた著者が、ダーウィンも悩んだ「進化の謎」に挑む。
目次
1 意外に少ない陸上の発光生物
2 海が発光生物であふれているのはなぜか
3 光るなんてことがなぜできる?
4 ティラノサウルスはホタルを見たか
5 イクチオサウルスの巨大な眼は光るサメを見たか
6 おわりに:進化のテープをリプレイしたら
著者等紹介
大場裕一[オオバユウイチ]
1970年北海道札幌市生まれ。小1から高3まで山形県に育つ。北海道大学理学部化学科卒業。同大学院理学研究科修士課程修了。総合研究大学院大学博士課程修了。博士(理学)。基礎生物学研究所博士研究員、名古屋大学大学院生命農学研究科助教を経て、中部大学応用生物学部准教授。専門は発光生物学(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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つき
9
発光生物がどんな仕組みで発光しているのか、その謎はほとんど解明されていないらしい。生物によってその仕組みが違うのだとか。 生物って未知な部分が多くて、奥が深いんだな。2016/10/03
calaf
6
光る生物って、陸上にはほとんどおらず、海中ではほとんどの生物が光るらしい...でも、淡水の生物は陸上と同じくほとんどが光らない...うーむ、いろいろあるのですねぇ。そしてタイトルの問いに関しては、光る生物がいつごろ発生したかという事がDNAの変化を調べる事で分かるようになってきているので答える事ができ、YESらしいです (笑)2016/11/13
月をみるもの
6
先月、福岡田川市でホタルの乱舞を堪能した。四半世紀前に遠州灘で見た、ヨットの航跡を彩る夜光虫も忘れられない。ホタルが光る目的は、パートナーを見つけるためであることはよく知られている。一方、夜光虫は光ることで、おのれを捕食する生物の存在場所を明らかにし、その捕食生物を捕食する生物へのシグナルとする(敵の敵は味方)。海の中深層で発光している生物は、下から明るい海面を見ている敵に発見されないために、わずかに発光している(カウンターイルミネーション)。生き物の輝きに魅せられた著者のワクワク感が伝わって来る。 2016/07/11
saladin
4
発光生物に関するポピュラーサイエンス書。主眼はタイトルの”恐竜は~”よりも、”どのようにして発光生物は光るのか”だ。ホタルがルシフェリンとルシフェラーゼによる発光反応によって光ることは知っていた。が、発光生物のほとんどは海の中。彼らは”自力発光”、”共生発光”、”半自力発光”する。特に半自力発光する生物が多く、”セレンテラジン”と呼ばれるルシフェリンを餌から手に入れて光っているらしい。そしてその餌となっているのが”コペポーダ”という海に大量に存在する動物性プランクトンとのこと。うーん、知らなかった。2022/05/03
おやぶたんぐ
4
詩的な表題とは裏腹(?)に、内容は発光生物の単なる紹介にとどまらず、その進化に関する最新の仮説にまで及ぶ。しかしながら、分かりやすい。ポピュラーサイエンス書のあるべき姿ではないかと思う。でもやっぱり値段は高いかな…2018/10/22