出版社内容情報
夜と闇を讃える長編詩『夜の讃歌』、自然とは何かを問う哲学的中編小説『サイスの弟子たち』。哲学的断章集『花粉』を併録。
内容説明
夜と闇を讃える長編詩『夜の讃歌』。自然とは何かを問う哲学的小説『サイスの弟子たち』(挿話「ヒヤシンスと花薔薇のメルヒェン」を含む)。そして哲学的断章集『花粉』。『青い花』で知られる詩人ノヴァーリス(一七七二‐一八〇一)の哲学と詩が融合したアンソロジー。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
KAZOO
95
「青い花」が好きでファンになった作家の作品集が岩波文庫から出て早速読みました。「夜の讃歌」は長編詩です。「サイスの弟子たち」は小説とは言いながら、若干思索的な感じもしてリルケを思い出しました。断片集も読んでいてなんども読み直したくなる言葉が書かれています。解説も力が入っていてノヴァーリスについてかなり知ることができました。2015/09/28
syaori
57
ノヴァーリスの作品集。表題二作のほかに断片集『花粉』が収録されています。『サイスの弟子たち』『花粉』には自然や無限なものへの憧憬と、またそこから自我を確立し、深く高く自身を、世界を把握するのだという作者の意志が満ちていて、こちらにもこの「自然」への「敬虔な憧れ」と彼のいう「創造的瞬間」への回帰に向かう志向が満ちてくるよう。それらへの内省を深め、「夜とその娘である産む愛」を讃え「終わりであると同時に始まり」という生を内包するものとしての死への憧れを歌う『夜の讃歌』と共に、作者の目指す理想と美を愉しみました。2021/08/04
双海(ふたみ)
22
ノヴァーリス。所謂ドイツロマン主義の文人。断片集 Blüthenstaub (1798)日本語訳『花粉』を読みたくて買いました。心惹かれた章句がたくさん。暇を見つけてノートに書き写さないと。2015/08/01
ラウリスタ~
10
『青い花』のノヴァーリス。ロマン主義的で雲間を漂うような詩ばかりかと思えば、それらには当時流行の哲学や自然科学の反映があるとのこと。「俗人のいわゆる宗教は、阿片と同じ作用をもつだけである」との記述があった、マルクスは読んでいたのかな、いずれにせよ、阿片にはさほどネガティブな含意はなく、苦痛を和らげるものということ。ヒヤシンスと花薔薇のメルヒェンは、世界中を何かを探し求めて冒険し、最後に捨て去った故郷、許嫁、そして自分自身を発見する物語で、様々な物語のプロトタイプになっているのかもしれない。2015/10/02
antoinette
7
「夜の讃歌」については、旧訳(笹沢)のほうが絶対にいい。以前読んだのとあまりに印象が違ったので比べてみたら、同じ詩でもこんなに印象が変わってしまうものか……と最初に不信感を懐いてしまい、その後素直に読めなかった。膨大な註の大半は、「この概念についてはこの時代にこんなのもあるよ」とノヴァーリスと直接関係ないことまで風呂敷を広げる余談や訳者の私見を述べるもので、途中から読み飛ばし。。が、中には重要な註もあるから困った。熱意はわかるがとりあえず作品にはシンプルに向き合わせて欲しい。。。(続く)2015/11/19