岩波文庫
通過儀礼

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  • サイズ 文庫判/ページ数 355,/高さ 15cm
  • 商品コード 9784003421918
  • NDC分類 385
  • Cコード C0136

出版社内容情報

ファン・ヘネップ(1873―1959)は,儀礼を初めて体系的に論じた.誕生から死までの折々の儀礼,入会の儀礼などを,分離・過渡・統合の過程をたどる通過儀礼の視点で捉えた.特に過渡期という境界状況の考察は,コミュニタス理論など後の人類学の理論的展開の基盤となった.

内容説明

ファン・ヘネップ(1873‐1957)は、儀礼を初めて体系的に論じた。誕生から死までの折々の儀礼、入会の儀礼などを、分離・過渡・統合の過程をたどる通過儀礼の視点で捉えた。特に過渡期という境界状況については、コミュニタス理論など後の人類学の理論的展開の基盤となった。儀礼研究の出発点となった人類学の古典。

目次

第1章 儀礼の分類
第2章 実質的通過
第3章 個人と集団
第4章 妊娠と出産
第5章 出生と幼年期
第6章 加入礼
第7章 婚約と結婚
第8章 葬式
第9章 その他の通過儀礼
第10章 結論

感想・レビュー

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壱萬弐仟縁

30
1909年初出。著者はフランス民俗学の父(336頁)。 著者のオリジナル概念は、以前の世界からの分離の儀礼=プレリミネール儀礼。過渡期の儀礼をリミネール儀礼。 そして、新世界への統合に際しての儀礼をポストリミネール儀礼とする(33頁)。 リミネールは境界期とする頁もある(75頁)。 99頁にあるような割礼の儀礼は残酷、人権侵害にも思えるが、それは部族からすれば普通なのだろう。 100頁にあるように、部族の秩序維持を図って、人口の安定化を維持してきたのだろう。2014/03/06

藤月はな(灯れ松明の火)

21
文化人類学の授業でよく、登場した象徴化した「死」を経ることによって社会へと認められる「自己」へと「再生」し、誕生する「通過儀礼」を具体例で示した本著。成人や秘密結社への加入だけでなく、異人とのコミュニケーション手段など社会が正常に機能するための必要儀礼であることが分かる。獣姦も社会を統合するための通過儀礼だと論じられていた時は驚きましたが日本の衆道によって社会の立ち回り方などを学ぶ文化などを考えると附合する所もあるのかもしれないと考えてしまいます。2012/10/20

サイバーパンツ

15
人類学の古典。博覧強記ではあるが、筋道立てて書かれているので、読みやすい。本書の目的は、出生、婚約、妊娠、加入礼、葬式など、様々な儀礼の例を通して、それらの儀礼の体系性、例えば、全ての儀礼に「分離・過渡・統合」という図式があることや、イニシエーションには「生理的成熟」と「社会的成熟」の2タイプが存在することなどを例証することにある。後の儀礼研究や、コミュニタス論、イニシエーション論などの礎となった書であるので、この辺の分野に興味のある人は、一読すべきかと。2016/08/19

ラウリスタ~

11
レヴィ・ストロースとかと比べると、より具体例が多く、より公式化しているって感じ。先行研究の批判とかも多いからよく分からんとこもある。具体例も多いんだけどさらさら書かれてあって、一読しただけでは雰囲気しか分からない。実地調査ではなく、研究結果を統合していった本。境界を越えるってのに着眼し、儀礼を彼の考える公式のもとに統合していく。もちろん恣意的なその手法は批判を当然生むだろうが、読み物としては、面白い。多くの批判のベースとかに成りうる大著みたいなものじゃないだろうか。2012/09/27

roughfractus02

9
持続し分割できない生を言語的に分割すると「時期」ができるが、それを生自身を分割可能なものとして人間側が操作するのではなく、分割不可能なものの人間側の解釈と捉えると言語は象徴として機能する。著者は儀礼を分割不能なものの分割と捉える象徴的行為と捉え、分割・過渡・統合という儀礼の過程は世俗・聖・世俗という段階の違いを経て、人間側と異なる次元を設定した。W・ターナーの象徴解釈学、J・キャンベルの物語構造論に影響を与えた本書は、この象徴的行為が原始的思考に留まらず、人間自身が活動する際の思考単位であることを示した。2024/04/18

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