内容説明
ティグリス川とユーフラテス川流域に生まれたメソポタミア文明は、ぼう大な粘土板文書などを通じてその姿が明らかになってきました。楔形文字と世界最初の国際共通語アッカド語、書記学校の生徒たち、正義の確立に努めた王たち、ハンムラビ時代の社会、豊かな神話と文学の世界など、テーマに沿って四大文明の一つを解説します。
目次
第1章 古代メソポタミア―その風土と歴史
第2章 シュメール都市文明の成立
第3章 文字と文書
第4章 書記の学校
第5章 正義と法
第6章 ハンムラビ法典を通してみたバビロニア社会
第7章 結婚・遺産相続・養子縁組
第8章 神話と物語
著者等紹介
中田一郎[ナカタイチロウ]
1937年生まれ。早稲田大学文科系大学院(西洋史学専攻)中退、ヒブルー・ユニオン・カレッジ大学院を経て、コロンビア大学大学院博士課程修了、Ph.D.取得。中央大学文学部教授を経て、2007年4月より中央大学名誉教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
白義
20
著者はハンムラビ法典の和訳も務めた古代オリエント学者!ってその時点でもう面白い。ハンムラビ法典が邦訳されてたのもびっくりだし「法典」ではなく実際は判例集に近いものらしいというのもびっくり。そして判例集だからこそそこから当時のメソポタミアの生活や常識、倫理もうかがい知れる。ハイレベルな入門書なのに強みを活かしてきちんとわかりやすく具体的なんだもんな。現代に繋がる人の「文明」の起源にも思いを馳せる、ワンテーマ歴史入門書でもかなり好きな感じの一冊だ。お硬い部分だけでなく主要オリエント神話も解説して子供にも楽しい2020/07/16
Koning
11
ジュニア新書恐るべし(w。いや、これハンムラビの和訳出してる中田さんなのだけれど。いい感じにまとまった入門書になってます。ちゃんとその筋の人が見て違和感ないちゃんとした解説だし。で、通史もそこそこにシュメールで書記が確立した話(ここの初心者の練習したタブレットの写真が個人的にはお役立ちだったり)とバビロニアの法律の話(まぁ、これが専門だしね)になるので、確かにこれジュニア新書の読者層向けというより大人向け。各章の扉には楔形文字で地名や人名が書かれているんだけど、新アッシリア文字。2012/12/17
Christena
6
ジュニア向けの入門書とは思えない濃い内容。古代メソポタミアの人々の生活が、ここまで分かっていることに驚いた。ハンムラビ法典の内容も興味深い。古代人の営みが生き生きと描かれていて、わかりやすい本。2014/06/14
サアベドラ
6
ジュニア向けのメソポタミア文明入門、のはずなのだが内容は重め。シュメールからヘレニズムに至るまでのオリエント通史は第1章(40ページ)でまとめ、あとの部分は半分がシュメールの楔形文字と学校制度、もう半分がバビロニアの法と社会の説明に費やされている。特にバビロニア法の記述が詳しく、他の一般書には載ってないレベルのことも書いてある。あと最後にメソポタミアの文学についても少しだけ紙幅が割かれている。こんな感じで入門にしては狭く深くなので、中高生が最初にこれを読んでついていけるのかちょっと疑問。文章は平易だけど。2012/12/06
α0350α
5
ロマン!!メソポタミア文明はロマン!!!やはりなんと言ってもハンムラビ法典ですね。ハンムラビ法典碑という形で残っていたことを知って驚きました。書かれている内容から当時の社会を知ることができるというのも非常に面白かったです。2020/10/09