出版社内容情報
スマホ決済、AIでのセキュリティー、ゲノム編集医療等、中国発イノベーションが世界を騒がせている。覇権を争う米中の図式はなぜ冷戦と異なるのか。南米・アフリカなど各地の取材で見えてくる、一帯一路で広がる中国パワーの現在。
内容説明
人権、民主主義、サイバー空間、開発協力、生命科学、メディア、決済…。世界第2の経済大国となった中国は、世界のルールを塗り替えるのか。5大陸29カ国で総力取材。朝日新聞好評連載に大幅加筆し書籍化。
目次
第1章 民主主義と人権
第2章 サイバー空間
第3章 開発協力
第4章 生命科学
第5章 メディア
第6章 マネー
第7章 海洋進出
最終章 中国流と世界
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Hatann
5
欧米の影響力が陰って価値観の異なる中国モデルがスタンダードになりうる状況にて幾つかの領域の動向を素描する。デジタル、ゲノムといった科学技術の競争は土俵が同じであり、急発展する中国の状況(中国製造2025)にも目配せすべきである。途上国支援(政治)の領域では、低コストであるが内部干渉(人権・民主主義)を伴う欧米型と高コストであるが内部干渉のない中国型が鬩ぎ合う。迅速な経済発展のため強権的指導者を望む国々は中国型と繋がり易い。中国型は腐敗を伴いがちであり、受入国にても反腐敗運動がないと民衆の支持を得られない。2019/07/26
踊りガエル
1
お勧めの本です。朝日新聞取材班の著作ですが、中国の経済・学術・軍事面での進出に着目し、その脅威を冷静に書いてあります。今日の中国を生み出したのは、米国の関与政策に代表される、「経済成長を優先し、その後に民主化させる」戦略ですが、結局は中国式の開発優先・民主主義軽視の外交を中国に許す事になりました。 故リー・クアンユーの「中国は中国として世界に認められようとする」との言や、豪州元首相ラッド氏の、民主主義国にとって、中国との経済的な付き合いは重要だが簡単ではないとの言が印象的。2020/01/04
お抹茶
0
中国のやり方がよくわかる。全世界を照準にして「属国化」しようとしている現実を取材している。2020/03/24
Ken Sugawara
0
発展が目覚ましい中国を分野ごとに解説した本である。現在の中国の状況は私たちが想像している状況と異なっているかもしれない。中国ははるかに日本より特定の分野では進んでいるようだ。2020/07/05
丹沢の野犬
0
近年の中国がどのような活動をしてきたのかが紹介されている。新聞の企画がもとになっているだけあって、1つの事例を掘り下げず、一つ一つは軽く説明する一方で、多くの事例を紹介する構成になっているので、非常に読みやすい。 個人的に中国の最大の強みはプライバシーを政府に渡すことに嫌悪感を抱かない14億の人民を保有している点だと思うが、その下地で得たノウハウを他国に適用しようとすると確実に軋轢が生まれると思う。中国は技術力も数の力も持っているので強国になることは不可避だと思うけど、やっぱりやり方は好きではない。2020/01/05