朝日選書
新聞 資本と経営の昭和史―朝日新聞筆政・緒方竹虎の苦悩

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  • サイズ B6判/ページ数 360,/高さ 19cm
  • 商品コード 9784022599247
  • NDC分類 070.21
  • Cコード C0321

内容説明

新聞は、いかにして権力の前に屈服していったのか―。大正から昭和初めにかけての新聞黄金期に、編集・経営の実権を握っていた「筆政」緒方竹虎。関東大震災、満州事変、二・二六事件、ゾルゲ事件、日米開戦、中野正剛憤死という大事件のたびに、朝日新聞は右翼や東条軍閥の執拗な弾圧を受け、同時に「資本と経営」をめぐる激しい社内抗争が噴出した。苦闘する緒方の姿を通じて、いまも新聞・メディアを呪縛しつづける「権力と新聞」「大株主と経営者」の宿命的課題を、膨大な秘蔵資料をもとに検証する。

目次

1 新聞はいかにして一大敵国となったか
2 「筆政」緒方の誕生
3 軍部に抗することはできたか
4 二・二六事件の仁王立ち
5 日米開戦への道
6 ゾルゲ事件と中野正剛の憤死
7 「反緒方」のクーデター
8 潰された和平工作
9 統制に屈服した新聞
10 新聞にとって「戦争」は終わっていない

著者等紹介

今西光男[イマニシミツオ]
1948年埼玉県川越市生まれ。東京大学法学部卒業。71年朝日新聞社に入社。大津、京都両支局、大阪社会部、東京政治部、西部社会部次長、東京政治部次長、電々メディア局ニュースセクションエディターなどを経て、2005年から総合研究本部(現・ジャーナリスト学校)主任研究員(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

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まると

23
新聞全般というより朝日新聞の戦前・戦中史といった内容。執筆資料として精読したが、第四の権力として力を蓄えていった新聞がいかにして軍部に屈服させられていったかが詳述され勉強になった。天皇の裁可を得て戦争が国策となり、時の政府から「公共性・公益性の確保」を理由に協力を求められた時点で、新聞は白旗を上げざるを得なかったということだろう。戦争は始まった段階で時すでに遅し。国の存亡がかかる国難に遭遇した時、メディアはどこまで戦争に抗うことができるのか。批判精神が乏しくなった現代のメディアに問いかけてみたいところだ。2024/03/02

チャーリイ

1
朝日新聞主筆の緒方竹虎を軸として新聞の経営や内部事情の視点から見た昭和史。軍と右翼の関係や、それらからの圧力に腐心しつづけた緒方、そして戦時統制の名残が今なお記者クラブ制度や一県一紙・全国紙の枠組みなどで残り続けていることなど。2015/09/24

BATTARIA

0
朝日新聞の主筆だった緒方竹虎にスポットをあて、新聞社における資本と経営の分離や、国家権力へ屈服していった過程が描かれている。25年程前に、朝日新聞の埼玉版で父の悪口が書かれて以来、私は朝日新聞が大嫌いになったが、なぜ朝日の論調が歪んで偏向したものになったか、読んでみてよく理解できた。戦時体制下で国策新聞に成り下がったことの総括が、未だにできていないということだ。朝日に限らないが、新聞社の株式を社外の者に持たせないという、統制経済以外の何物でもないしくみが未だに続いているのが、何よりの証明だ。2013/11/07

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