朝日選書
佐藤栄作―最長不倒政権への道

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  • サイズ B6判/ページ数 440p/高さ 19cm
  • 商品コード 9784022630667
  • NDC分類 289.1
  • Cコード C0331

出版社内容情報

2797日に及ぶ最長不倒政権を誇り、沖縄返還を成し遂げ、非核三原則でノーベル平和賞を受賞した大総理の研究者による初の本格的評伝。大派閥形成に至る保守の大抗争、「Sオペ」による官邸主導政策の実像、佐藤がなぜ密約、密使外交を生じさせたのかを膨大な資料から明かす。

内容説明

7年8カ月に及ぶ最長不倒政権を担った佐藤栄作。沖縄返還を成し遂げ、非核三原則でノーベル平和賞を受賞したほか、日韓国交正常化も実現している。内政ではライバルの池田勇人に対抗すべく「社会開発」を打ち出し、経済成長を持続させた。その業績は戦後屈指といえるだろう。「Sオペ」やブレーンを活用した官邸主導も、佐藤政権の新しいスタイルである。他方、密使を多用した「核密約」や「繊維密約」、日米安保体制の変質、不成功に終わった対中工作、「人事の佐藤」らしからぬミスやおごりなど、再検討すべき点も少なくない。『佐藤栄作日記』はもとより、新たに公開された「楠田實資料」や外交文書など膨大な資料をもとに、佐藤の全生涯と自民党政治を描きだす。研究者による初の本格的評伝。

目次

序章 華麗なる一族―市郎・信介・栄作の三兄弟と松岡洋右
第1章 鉄道省の「鈍足」、そして「三段跳びの栄作」
第2章 「吉田学校の優等生」―政治家への転身
第3章 「待ちの政治」―岸内閣蔵相から池田内閣通産相へ
第4章 「社会開発」と「自主外交」―第一次佐藤内閣
第5章 沖縄返還と「密約」―第二次佐藤内閣
第6章 最長不倒二七九七日―第三次佐藤内閣
終章 ノーベル平和賞―晩年の栄光と急逝

著者等紹介

服部龍二[ハットリリュウジ]
1968年東京都生まれ。92年京都大学法学部卒業。97年神戸大学大学院法学研究科単位取得退学。博士(政治学)。中央大学総合政策学部教授。日本政治外交史・東アジア国際政治史専攻。著書に『日中国交正常化』(中公新書、アジア・太平洋賞特別賞、大佛次郎論壇賞)ほか多数(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ジュンジュン

11
吉田学校の池田と佐藤は、高度経済成長下で安定政権を築き、吉田路線を発展継承した。今日、吉田茂が名宰相とされるのは、二人の門下生が所得倍増政策や沖縄返還などの業績を遺したおかげとも言える。「臆病なほど慎重で、万事に用心深く、誤解や漏洩を人一倍警戒する」(若泉評)性格で、長期政権を築いた佐藤栄作。人間的魅力には乏しくとも、実績は抜群。本書は生涯を跡付けながら、最大の栄光である沖縄返還とその陰「核密約」を詳しく検証する。2024/04/03

Ryuji

4
★★★★☆なかなか読み応えのある本です。佐藤栄作と言えば、戦後最長(7年8か月)の政権をになった人物。「日韓国交正常化(日韓基本条約調印)」「小笠原・沖縄返還」「ノーベル平和賞受賞」等々の功績のあった人であるが、「好感」という点で見ると私自身もそうであるが今一つという印象が拭えない人ではないだろうか。この欄だけではとても書き切れないが、この本を読んでちょっと見方は変わったかもしれない。読みながら中曾根康弘以来、骨のある首相がいないな~と、ぼんやり思っていたら、著者があとがきで同じことを書いていた。2018/05/29

省事

4
佐藤栄作の全生涯を扱った本格的伝記。淡々とした記述の中に行き届いたリサーチを感じさせ、また時折突き放した行動への評価が入るのも味わい。佐藤の外交に対する取り組み方について、吉田茂の影響を描いているのは保守政治史ということを考えても面白い部分でもある。また沖縄返還や日米経済摩擦などの外交案件の評価や解釈には特に新味がある。何か明確な佐藤像のようなものを打ち出すものではないが、そういう散文的な部分も含めて佐藤栄作なのかもしれないという気にさせられる。2017/12/17

nishiyan

3
佐藤栄作元首相の生涯を近年の研究成果や「楠田實資料」、新たに公開された外交記録などを反映させた評伝。沖縄返還交渉に若泉敬を密使として使っていたことはよく知られているが、繊維交渉と対中政策にも密使を多用していたというのは驚きだった。しかもこの秘密外交は佐藤首相と一部が把握するのみで、同じく秘密外交だった池田勇人内閣での韓国との国交正常化が、官邸のみならず外務省と共有されていたのとはかなり違うものである。過度な秘密外交が後々まで禍根を残したのはいうまでもない。これ以外にも多くの示唆を富む内容でだった。良書。2018/03/27

バルジ

2
これまであまり論じられることのなかった佐藤栄作を扱った評伝。中々ボリュームがあるか著者の筆致は読者を全く飽きさせること無く、戦後政治の荒波を追体験させてくれる。 第五章は沖縄返還の交渉過程と”愛国の密使”若泉敬と佐藤との関係が描かれているが、これもまた興味深い。 佐藤の過度な秘密主義と若泉への曖昧な指示が齎した「密約」を批判的に論じ、佐藤の政治スタイルにも射程を広げている。 ブレーンを用いながら属人化していたが故に引き起こされた「密約」問題は、現今の政治制度を考える上で示唆に富むのではないだろうか。2018/12/09

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