出版社内容情報
会田 誠[アイダ マコト]
著・文・その他
椹木 野衣[サワラギ ノイ]
著・文・その他
内容説明
70年目の「戦争画」と向き合う。たんなる研究や評論だけでは決して割り切れない、絵描きならではの宿命。
目次
太平洋戦争の記憶
暗い叙情
七十年目の「戦争画」
やさしい戦争画
藤田嗣治の巨視的視点
裸婦と戦争画
画家たちの歴史
近代の超克
頭蓋骨が描けないと
肉が足りない
国家とモニュメント
美術家の節操
戦争画のDNA
もうひとつの戦争画―ある画家の絶筆を訪ねて
再録 陸軍派遣画家―南方戦線座談会
作品解説
著者等紹介
椹木野衣[サワラギノイ]
美術批評家。1962年埼玉県生まれ。同志社大学卒。現在、多摩美術大学教授
会田誠[アイダマコト]
美術家。1965年新潟県生まれ。1991年東京藝術大学大学院美術研究科修了(油画技法材料研究室)。絵画、写真、映像、立体、パフォーマンス、インスタレーション、小説、漫画など表現領域は国内外多岐にわたる(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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harass
61
画家と評論家による太平洋戦争の戦争画についての対談。当時の軍部や国の要請で国威発揚のために書かれた作品をいくつも挙げている。英米での戦争画の位置づけ、勝った国でも戦争画については評価が難しいそうな。また、日本人には向かない題材ではないかなどといろいろ語っている。会田は、駕籠真太郎のような強烈な作品があるかと思っていたが「やさしい戦争画」ばかりなことを残念がっている。やっぱり肉食べてないからでしょうか、などと。会田のファンであれば。2017/08/23
どんぐり
61
ニッポン国の戦争に利用された「戦争画」、これを作戦記録画、戦争記録画ともいう。戦勝国の米国に接収され、その後無期限貸与された作品群(東京国立近代美術館所蔵)である。戦後70年を迎えた年に、この戦争画について語り合うのが美術批評家の椹木野衣と美術家の会田誠。表紙カバーが「たまゆら」、そして巻頭に「紐育空爆之図」の絵、いずれも会田の作品。そして本論、藤田嗣治、小磯良平、宮本三郎、吉岡堅二、鈴木良三らの「戦争画」と画家たちの歴史、画家の戦争責任と汚名。椹木はあとがきで次のように述べている。戦犯の汚名を着せられた2015/09/22
安南
40
「私、街宣車が来るとワクワクしちゃって〜軍歌が好きなんですよ」そんなふざけた右翼的発言も今やシャレにならない時代になってしまった。そんなモヤモヤした気持ちにしっくりと馴染む美術批評家と現代美術家の《戦争画》についての対談。タブー視されていた戦争画を今こそ再批評。ほんの十数年前までは「インテリといえば基本リベラル左翼。だからこそ《右翼》という言葉自体に批評的効果があった 」会田氏言うところの太平洋戦争の《暗い叙情》の魅力。それは戦争画DNAとして、花輪、丸尾、駕籠真太郎まで引き継がれているという。2015/08/11
馨
24
戦争中の風景を絵にしている絵画集。絵なので、ちょっとキレイめに描いている作品が多い。でも十分に戦時下の光景が伝わります。でも、沖縄戦はさすがに残酷だったな。あと、山を描いているけどそれが全部人の死体で出来た山だった絵も衝撃的でした。2015/07/12
更紗蝦
14
椹木野衣氏と会田誠氏が「戦争画」の観点で日本の近代美術史を語り合った対談集です。「日本人が描いた戦争画」というと私が真っ先に思い出すのは聖徳記念絵画館で見た日清・日露戦争関連の絵画なのですが、この本で取り上げられているのは太平洋戦争時の絵画なので、その点が少々物足りなかったです。いわゆる「画壇」でそれなりに認められているような画家や作品に注目しているため、挿絵や漫画などの扱いが小さいのも残念でした。とはいえ、現在のような社会情勢の中でこのようなテーマの本を出す意義は、とても大きいと思いました。2015/09/23