出版社内容情報
運動的な機能低下、「考えること」への禁止メカニズム、衝動的なものの否認など、この病気の本態を見極め、ヒトの心的傾向を総覧するかつては精神分裂病と呼ばれ、今では統合失調症と名称変更された病気「スキゾフレニア」。精神科医としての50年をこの病気の治療に当たってきた著者が、それは俗に言われるように「正常」と断絶された「狂気」とされるものなのか、あるいは治療法のある「症状」なのかを問題意識としながら、この病気の本態を語り尽くす。
また、この病気に見られる「現実の否認」「現在の消失」「心的エネルギーの回路づけの不具合」「昏迷」などの特徴が、ヒトの心的特性の極端化であり、時代の精神的風潮とも繋がっていることに射程を拡げていく。
自らを「内臓の医者」と称する精神科医が見極めた、病の本態と人間の心の働き方。
第1章 「スキゾフレニア」の履歴
第2章 始まりの不具合
第3章 奇妙な世界に入り込んで……
第4章 運動・思考が停止する!
第5章 「現実」の変容より「現在」の喪失の方が重い病
第6章 フィールドへ出よ
第7章 身の内にうごめくもの、その否認
第8章 眼も耳も嘘をつく――修正するのはアクション
第9章 脱施設化再考――終わっていない課題
第10章 心を概念化するメカニズム――メタファー経由の理解
計見 一雄[ケンミ カズオ]
著・文・その他
内容説明
スキゾフレニアは伝統的に理性の病とされてきた。さらに魂の崩壊とも見られたこの病気の根底にあるものは何か。臨床的に見えてくるのは運動的な機能の低下、不自由さ、また、衝動的なものへの「否認」による怒りなどの感情の禁止。豊富な経験を持つ精神科医が捉える病気とこころの本態とは?身体として生きるエネルギーを奪う「否認」のメカニズムが病人だけのものではないことを見通し、ヒトの心的傾向を探る。
目次
序章 回復途上の三人
第1章 「スキゾフレニア」の履歴
第2章 始まりの不具合
第3章 奇妙な世界に入り込んで…
第4章 運動と思考が停止する!
第5章 「現実」の変容より「現在」の喪失の方が重い病
第6章 フィールドへ出よ
第7章 身の内にうごめくもの、その否認
第8章 眼も耳も嘘をつく―修正するのはアクション
第9章 脱施設化再考―終わっていない課題
第10章 心を概念化するメカニズム―メタファー経由の理解
著者等紹介
計見一雄[ケンミカズオ]
1939年生まれ。千葉大学医学部卒業。医学博士。千葉県精神科医療センターの設立に参画、名誉センター長。公徳会佐藤病院顧問。精神科救急医療という分野の開拓者で、日本精神科救急学会初代理事長(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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