講談社学術文庫
ちんちん千鳥のなく声は―日本語の歴史 鳥声編

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  • サイズ 文庫判/ページ数 317p/高さ 15cm
  • 商品コード 9784062919265
  • NDC分類 814
  • Cコード C0181

内容説明

万葉集から童謡まで、歴史をたどればユニークな鳴き声がいっぱい、日本人と鳥との愛情あふれる関係が見えてくる。楽しさ満載の日本語史。

目次

嬶嬶とよびわたる―カラス
ほほうほほうもほめことば―ウグイス
仏壇に本尊かけたか―ホトトギス
ひいる盗人とさけべば―トビ
虚空にしばしひひめいたり―ヌエ
お口をそろえてちいぱっぱ―スズメ
糊すりおけとよぶ声に―フクロウ
妻恋う声はけんけんほろろ―キジ
ちんちん千鳥のなく声は―チドリ
うたう声にも血の涙―ウトウ〔ほか〕

著者等紹介

山口仲美[ヤマグチナカミ]
1943年静岡県生まれ。お茶の水女子大学卒業。東京大学大学院修士課程修了。埼玉大学教養学部教授等を経て、明治大学国際日本学部教授。文学博士。第3回日本古典文学会賞、第12回金田一京助博士記念賞、2007年日本エッセイスト・クラブ賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

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ヴェネツィア

295
鳥の鳴き声のオノマトペを古歌や物語などのさまざまな文献から渉猟し、跡付けた労作。それぞれの鳥の声の「聞きなし」(どう聞いたか)が各国語で違うのはよく知られている。例えば鶏の鳴き声は英語なら"cock-a-doodle-doo"、フランス語では" Cocorico "、ドイツ語で"kikeriki"という具合に。ところが、日本語でもこれが時代によって違っている。平安時代の神楽歌では「かけろ」と鳴いていたり、狂言『佐渡狐』では「東天紅」と鳴いている。目から鱗の本だった。2017/05/21

へくとぱすかる

66
長い間疑問だった多くの鳥の名前の語源について、みごとに解き明かしてくれた(詳細は本書で)。「チュンチュン」「カアカア」などは、もちろん人間の声ではないから、カナ表記は無理のゴリ押し。著者はそれを「聴きなし」という概念で捉える。歴史的には不思議な表現もあるが、日本語の変化とからめながら解き明かす謎解きがすばらしい。これは国語学の本であるが、鳥類研究の本とも言えそうだ。さて萩原朔太郎の詩のオノマトペに、ニワトリの声を「とをてくう、とをるもう、とをるもう」と、あるのだが、彼はどこからそのヒントを得たのか?2019/11/16

へくとぱすかる

56
3年半ぶりの再読。鳥の声というテーマだけで、こんなおもしろい本が生まれるのだから、ことばの世界は奥が深い。名前が鳴き声から付けられる、という鳥が意外に多いのには驚き。前回も読んだことなのに、すっかり忘れていた。「雁」が「かり」と「ガン」の両方あるのは、通説では和語から漢語への移り変わりらしいが、これも鳴き声がからむようだ。だとすると「雁」の漢字音も実は鳴き声がルーツだったかもしれない。トビの鳴き声の検討からは、古代のハ行がP音だったからといって、ハ行の表記を安易にP音と解釈する危険さを学ばせてもらった。2023/04/10

Ribes triste

19
「鳥の鳴き声をことばで表記する」という問題に昔の人はどう対応していたのか。過去の文献を紐解きながら、写声語や聴きなしと様々な手法を駆使して、音を言葉で表現しようとした変遷を追う、面白い視点の本です。山口さんの語り口が、堅苦しくないので読みやすい。ピーヒョロだと思っていた唱歌「とんび」の歌詞がピンヨローだったのは衝撃でした。2022/05/21

bittersweet symphony

3
擬音語・擬態語の歴史を辿る山口仲美さんのメインテーマの著作は文庫・新書としては「犬は「びよ」と鳴いていた」(光文社新書)についでこれが二冊目、もっとも単行本のほうは「ちんちん」のほうが先になります。鳥を題材に擬音語の変遷を追いかける内容にはなっているのですが、鳥のネーミングが鳴き声と関連していることもあって特に中後半は呼称の変遷とテーマがぶれている印象があります。やるとしたら呼称のほうももっと腰をすえてやると展開としてはよかったかもしれません。2008/11/27

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