出版社内容情報
AI、iPS細胞、自動運転、IoT……。技術の発展は、とどまるところを知りません。身近な医療事故から超巨大な原発事故まで、事故もどんどん巨大化、複雑化しています。
産業革命以降、人工物(主に工学的に人間が作り出したもの)は、ますます大きなエネルギーを社会の中に出現させています。つまり、巨大事故の可能性も大きくなっているのです。
複雑な人工物の出現は、それを補完する社会制度を作ってきました。その制度の基本にある人間観、倫理観を考察します。すると明らかになってくるのが、事故と責任の関係です。
人工物が複雑化すればするほど、事故の因果関係は不明瞭になります。被害は存在しても、加害者を特定できなくなります。また、過失ともいえない過失が、巨大事故を引き起こす可能性がますます大きくなっています。
ディープラーニングしたAIの判断の責任は、だれがとればよいのでしょうか?
人工物が第二の自然になり、事故が第二の天災となる時代に、倫理はどうあるべきなのでしょうか。
現在進行中の問題に深く切り込みます。
内容説明
自動運転車の事故の責任は、誰にあるのか?ドライバーなのか、設計者なのか、製造者なのか?故意、過失そして無過失の責任へ。IoTが社会をつなぎ、未曾有の巨大事故を引き起こす。極度に複雑化した人工物の事故原因は、特定不能となる。製品、制度、法人―人工物のネットワークが社会を覆うとき、技術倫理はどうあるべきか?現在進行中の問題に深く切り込む。
目次
はじめに ソーシャル・アクシデントの時代
第1章 事故を考えるための技術論
第2章 安全は科学を超える
第3章 組織・システム・制度
第4章 無過失責任の誕生
第5章 人工物の存在論
最後に 「天災」化する事故
著者等紹介
齊藤了文[サイトウノリフミ]
1953年奈良県生まれ。京都大学理学部ならびに文学部卒業。同大学院文学研究科博士課程単位取得退学。現在、関西大学社会学部教授。専門は、工学の哲学と倫理(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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