内容説明
戦国七雄のうち最も西方の秦は、紀元前二二一年、ついに天下を統一したが、わずか一五年で滅亡。項羽との激闘に勝利して劉邦が創始した漢帝国は、新をはさんで前漢と後漢の劉氏二四代、四〇〇年も続く。荒ぶる英雄の野望と、災害・内乱に揺れる社会の実像に、『史記』『漢書』などの史書、新発見の兵馬俑や大量に出土した竹簡文書の解読から肉迫する。
目次
第1章 ファーストエンペラーの誕生
第2章 皇帝制の成立
第3章 秦楚漢の三国志
第4章 劉氏王朝の誕生
第5章 武帝の時代1 司馬遷の生きた時代
第6章 武帝の時代2 領土拡大
第7章 後宮の窓から見た帝国の行方
第8章 民衆の世紀
第9章 自然災害と内乱の世紀
著者等紹介
鶴間和幸[ツルマカズユキ]
1950年東京都生まれ。東京大学大学院人文科学研究科博士課程単位取得退学。博士(文学)。茨城大学教授を経て、学習院大学文学部教授。秦漢帝国の歴史や兵馬俑、始皇帝陵について現地調査を進めながら研究する(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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榊原 香織
64
全12巻の3巻目 読んでも読んでも終わらない感あるけど、興味深い。良書です。 考古学上の新発見は続々なので、どんどん変わっていく部分もある。 紀元前後のことなのに、庶民の生活まで文書で分かってしまう中国てすごい。 天災に蝗があるのが・・(でも、これも戦乱の荒廃が関係するらしい)2024/03/06
さとうしん
21
良くも悪くも尖った構成・内容のものが多いこのシリーズの中にあってオーソドックスな作り。原著出版から15年、その後も色々新発見や研究の進展があり、かつ本文には増補がないが、元々踏み込んだ記述がそれほどないこともあり、意外と今でも通用するなという印象。シリーズの中では安心して人に薦められるもののひとつ。2020/11/13
崩紫サロメ
15
単行本既読。睡虎地秦簡や里耶秦簡など、『史記』『漢書』などには記されていない出土資料を用いつつ、通史として読めるバランスのよい書(出土資料の話は同著者『ある地方官吏の生涯』が面白い)。中国版は電子版で読むことができるが、なかなか手に取る機会のない台湾版の「歴史の情境」というキーワードが紹介されていた点も文庫版で読み直して良かったと思う。2023/10/24
nagoyan
14
優。何しろ大部。本書では「近年」の考古学の成果が取り入れられ、文献資料からだけでは明らかでなかった秦漢帝国の社会の実情が具体的に描かれる。地方官(吏)たちの残した多量の文書から、帝国の政策から地域社会の日常までが明らかになる。それにしても、この文書行政の徹底ぶり。重要文書を廃棄したとしても重大な落ち度となることのない今日のどこかの国と比較するまでもなく、この国の文明は凄いの一言。2020/12/13
Tomoichi
12
ちょっとイメージしていたものとは違ったけれど、最新発掘資料でUpdateしてくれるのでますます中国古代史が面白くなってくる。個人的には旧シリーズの西嶋定生の「秦漢帝国」の方が面白かったかな。2021/12/04