出版社内容情報
江戸や大坂など大都市の市中で、あるいは木曽街道の宿場町や四国の農村で、「エエジャイカ、エエジャナイカ」と歌い踊る人々。このお祭り騒ぎは、幕末の日本を観察したイギリスの外交官、アーネスト・サトウの回顧録に記され、島崎藤村の『夜明け前』にも描写される。
徳川時代の末期、慶応3年(1867)夏頃から翌年にかけて、日本の多くの地域で引き起こされたこの熱狂は、いったい何だったのか。日本史上でもあまり類例のない、この不思議な現象の全貌を、各地の史料を掘り起こして明らかにした労作。
さらに、中世の神社史、特に伊勢神宮史に業績のある著者は、この「ええじゃないか」という事象を、古代の常世神や志多羅神信仰から、「永長の大田楽」、近世の伊勢踊りへと至る民衆運動の系譜の中に位置づけ、また、近世の伊勢信仰と「おかげ参り」の大流行、そして幕末の「世直し」との関連のなかで考察する。〔原本:『ええじゃないか――民衆運動の系譜』新人物往来社、1973年刊〕
内容説明
江戸・大坂など大都市で、街道の宿場町や農村で、「神札が降った」と歌い踊る人々。大政奉還直前の慶応三年(一八六七)夏におこった熱狂は、どこで始まり、いかに広まったのか。各地の史料を掘り起こし、この不思議な現象の全貌を明らかにした労作。さらに、古代以来の伊勢信仰や、近世のおかげ参りの大流行、「世直し」を願う幕末の民衆の心情から分析する。
目次
序章
第1章 「ええじゃないか」とは
第2章 「ええじゃないか」の発生と展開
第3章 民衆運動の系譜
第4章 伊勢信仰と民衆
第5章 おかげ参り
第6章 「世直し」か「世直り」か
著者等紹介
西垣晴次[ニシガキセイジ]
1929年、東京生まれ。東京文理科大学史学科卒業。民俗学研究所所員、東京学芸大学付属高校教諭等を経て、群馬大学教授、目白大学教授、日本学術会議会員を務め、2013年没(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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