新潮文庫<br> 薔薇の雨

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新潮文庫
薔薇の雨

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  • サイズ 文庫判/ページ数 275p/高さ 15cm
  • 商品コード 9784101175287
  • NDC分類 913.6
  • Cコード C0193

内容説明

年下の男との恋に落ちて5年。新鮮さがいつか馴れ合いになり、ときめきは穏やかな親近感に変わった今、留禰は別れが近いと知る。もはや止めることができない恋の終わりを受け入れようとする女、その心に溢れくる甘やかな悲しみを描いた表題作ほか、恋愛に翻弄され人生に行き惑う男女のありさまを、抒情豊かな筆致で描き上げた5篇。芳醇な味わい、深い余韻。まさに恋愛小説の傑作。

著者等紹介

田辺聖子[タナベセイコ]
1928(昭和3)年、大阪生れ。樟蔭女専国文科卒業。’64年『感傷旅行(センチメンタル・ジャーニィ)』で芥川賞、’87年『花衣ぬぐやまつわる…わが愛の杉田久女』で女流文学賞、’93年(平成5)年『ひねくれ一茶』で吉川英治文学賞を、’94年菊池寛賞を受賞。また’95年紫綬褒章、’08年文化勲章を受章。小説、エッセイの他に、古典の現代語訳ならびに古典案内の作品も多い(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

しいたけ

105
「ベッドで一緒に笑えるなんて、すてきだと思った」。おせいさんの描く女を、私は大変好いている。あっけらかんとしていて、でも繊細で、人の暗部を覗き見る悪魔と、男の重ねた年月に付随する身体の老いを愛おしく思う包容力。別れを見つめる潔さ。梅雨に読むこのタイトルだが、中身は爽快。女とは、こうありたいものだ。関西弁の会話は、声に出して読んでみた。あちらに逝かれてしまったおせいさんの、明るい笑顔が浮かんでくる。2019/07/12

じいじ

101
この小説が世に出たのは、巻末に平成元年とある。30年経た今読むと環境の変化に気が付くが、登場人物の恋心には全く旧さを感じさせない。とにかく会話が楽しい。田辺さんの恋愛小説は、愉快で可笑しくてオモシロイ。私は、哀愁漂う一皮剥けた大人の女の恋を綴った表題作が好きだ。主人公の50歳の女と16歳年下の男(ともに独身)との恋話。女は互いの未来を考えて、そろそろ終止符を…と考えるが、逢うと愛しくなり別れるに別れらいない…もどかしさが好い。恋を手玉に取る女たちの五編は粒ぞろいで面白い。ここに感謝してご冥福を祈ります。2019/06/16

まーちゃん

46
私本源氏や枕草子を何度も読んだ。カモカのおっちゃんシリーズ等のエッセイも好きだった。母より上の世代の方だけど、街や暮らしの描写が懐かしく慕わしかった。年の締まった賢く魅力的な女性と、可愛げある中年男、あるいは若い男の子との物語を何冊も読んだ。田辺さんの温かな眼差しを通して見る世界は、人が苦手な私に、世の中そんなこわないから見てみ?おもろい人ようけいてはるで。と優しくいたずらっぽく語り掛けてくれた。どれほど慰められただろう。田辺さん、ありがとうございました。ご冥福をお祈りします。2019/06/30

kiisuke

39
田辺聖子さんの小説を読むのは初めてだったのですが、とても好きになってしまいました。短編の五つの作品集。描かれる人物に皆、人間らしい味わいがあって男も女も魅力的。夫をはじめ、姑、義理の兄妹、親戚など大人のお付き合いの中でいかに自分の人生を楽しむか。前向きな考え方の人物がたくさんでてきて参考にもなりました。男女の会話も楽しくって本当に素敵な作品集。田辺さん、良いなあ!これからたくさん読んでみたい。楽しみが増えました♪2015/11/27

天の川

34
久々のお聖さん再読。昔も好きだったけれど、今の方が好きかも。とにかく、出てくる男性が魅力的。決してイケメンではない中年男。古典などにも造詣が深いけれど決してひけらかさず、饒舌な関西弁にはゆとりとさり気ない色気がある。男女ともに可愛げがあって、たとえ孤独を抱えていても、生きることに貪欲で、人生を愉しもうとしている。そんな二人の会話は大人で艶っぽくて…。「あさが来た」と共に、古き良き大阪言葉がええ感じです♪2016/03/05

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