出版社内容情報
なぜ世界の人々は続々と鉄道に乗り換えているのか。欧州発の大転換を、ビジネス・環境・地域再生から徹底分析。脱停滞の交通経済学。
内容説明
21世紀に入り「鉄道」が世界中で急成長を遂げている。自動車・航空機に交通シェアを奪われ続けてきた斜陽産業が、なぜ復権したのか?欧州発のグローバルな大転換を、ビジネス・環境・高齢化・地域再生の側面から徹底分析。鉄道の「新たな効用」に気づかず、ジリ貧に陥っている日本に警鐘を鳴らす。脱・自動車中心社会の到来を予見する新しい交通経済学。
目次
よみがえる「鉄道時代」
鉄道先進国・日本
EUの鉄道復興政策
高速鉄道の新時代
大都市圏交通の新展開
地方都市における鉄道再生(欧州;日本)
鉄道が拓く成熟社会
著者等紹介
宇都宮浄人[ウツノミヤキヨヒト]
1960年、兵庫県生まれ。京都大学経済学部卒業。1984年に日本銀行に入行し、マンチェスター大学大学院留学、一橋大学経済研究所専任講師、日本銀行調査統計局物価統計課長、同金融研究所歴史研究課長等を歴任。2011年に関西大学経済学部教授に就任。『路面電車ルネッサンス』(新潮新書)で第29回交通図書賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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tkmt
2
厳しい局面に立ち向かい続けている鉄道業界へのエール。日本と欧州を比較しつつ、費用便益比では見えてこない鉄道の利益や、万人に開かれている『移動の基本的権利』といった視点から鉄道を再利用することを説いている。地方都市レベルにおいて車の乗り入れを規制し、LRTを敷くやり口はタメになる。しかしながら、本書には町村における鉄道の再活用事例が皆無である。過疎に悩み消滅しつつある場所において鉄道の復権は絶望的か。2020/08/24
三上 直樹
2
先日のたま駅長社葬の貴志川線、昨日の事故に揺れる新幹線の両方とも紹介されている、日本と世界の鉄道の現在と今後の課題を明らかにしている労作。公共交通の意義を考える上で必読です。 ちなみに、貴志川線は世界中から集まることで知られていますが、運営の上下分離といった世界標準をいち早く導入しているそうで、その点からも注目されるべき存在だというのは、はじめて知りました。2015/07/01
takao
1
長距離は鉄道に限る。2017/01/31
チャーリイ
1
EUの成立や環境意識の向上などで欧州で再び存在感の増す鉄道について、日本とも比較しながら述べた書。元々頭端式ホームの文字通りのターミナル駅が多かった欧州で、EUが成立したことで各国の首都が目的地でなくなり、通り抜けられるターミナル駅が求められるようになったという話が面白かった。ターミナル駅がターミナルではない方式は、日本が先駆的で、大阪駅などが代表例。日欧の比較は読み物として普通に面白い。2014/06/10
井上岳一
1
これは面白かった。世界的な鉄道回帰の流れがなぜ起きているのかを、鉄道の歴史を踏まえながら説明する。事業者任せの日本と、街づくりの観点から鉄道のみならず、交通システム全体の設計をする欧米との違いに、 溜息が出る。話し合わず、既得権益を手放さず、それがために、全体最適ができない。全て問題の根っこは一緒。2014/05/17