新潮選書<br> 美の考古学―古代人は何に魅せられてきたか

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新潮選書
美の考古学―古代人は何に魅せられてきたか

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  • サイズ B6判/ページ数 221p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784106037801
  • NDC分類 210.2
  • Cコード C0321

出版社内容情報

社会が「美」を育むのではない。「美」こそが社会を育んできたのだ。石器や土器、古墳の造形から導きだす、新たなる人類史の試み。

石器・土器・古墳の「美」とは何か? 新たなる人類史の試み。60万年前のホモ・ハイデルベルゲンシスの石斧に始まり、縄文・弥生土器、古墳に至るまで、考古学は物の機能や技術面しか見てこなかった。だが、じつは「美」こそが、いにしえの人びとの在りかたを方向づけてきたのだ。物に託された数と図形、色や質感などを切り口に、人の心の動きと社会の変遷とを重ね合わせる画期的論考。

内容説明

はるか60万年前の石斧に始まり、縄文・弥生土器、銅鐸、古墳に至るまで、人類の歴史は「美」の歴史でもあった。従来の考古学は物の機能や技術面ばかりを重視しがちだが、じつは「美」こそが、いにしえの人びとの在りかたを方向づけてきたのではないか。物に託された数と図形、色や質感などを切り口に、人の心の動きと社会の変遷とを重ね合わせる画期的論考。

目次

第1章 人類は美とどうかかわってきたか(美の起源;美の発展と社会)
第2章 形の美の変遷(土器の世界史;縄文と弥生の美)
第3章 数と図形の美(物に託された数と図形;数からみる縄文土器;円と直線の誕生;モニュメントの形と様式)
第4章 色と質感の考古学(人類史と彩り;縄文の知覚、弥生の知覚;質の美から量の美へ;彩られる景観)
第5章 美の人類史と列島史(美と社会・経済;美から見なおす列島史;美の人類史を展望する)

著者等紹介

松木武彦[マツギタケヒコ]
1961年、愛媛県生まれ。大阪大学大学院文学研究科博士課程修了。岡山大学文学部教授を経て、国立歴史民俗博物館教授。専攻は日本考古学。モノの分析をとおしてヒトの心の現象と進化を解明し、科学としての歴史学の再構築を目指している。2008年、『全集日本の歴史1 列島創世記』(小学館)でサントリー学芸賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

tama

9
図書館本 よかった。霊長類は対称形に注目。日本とイギリス、土器は質の変化も時期もほぼ同じ。複雑形態の縄文土器も日常雑器であり、縄文の感覚は現代のものとは相当違っていた。同じ頃の中国でも複雑土器が作られていた。金属が入ってきて美の質に変化が出た。縄文の頃は地球はどこも温暖で、楽に採集生活が出来、人口もまだ少なくみんな仲間内なので、思い思いの好きなことで楽しむのが当たり前(意訳し過ぎ?)。しかし、土偶のことがほぼ全く書かれておらず、やや不満。あれは思いのままに表現したが気持ちの上ではリアルな誰かさんなのか?2016/09/13

しんさん

4
「列島創世記」で古代史、古墳沼に入るきっかけとなった松木さんの本! 図書館本だけど、これも買おう。 縄文の美は、均等・均衡・対称・偶数など、釣り合うことや割り切れることをポジティブに価値づける合理的な私たちとは相いれない。だから私たちの意識を逆なでされる(魅入られてしまう!)。弥生の美は整った美。科学が進歩して円や直線、金属が使えるようになった。古墳は美意識が質から量(大きさや装飾品の数)への変化ことの象徴。それは社会の変化でもあった。2022/03/06

円盤人

4
近年読んだ中で一、二を争う良書だった。土器や銅鐸、古墳の形や色、数、質感を手がかりに、古代人の「美」の認識を追うという内容で、独善的で強引な自説に寄り掛かることもなく、各種の気づきを与えてくれる。過剰装飾の縄文土器について、機能性と装飾性を分けるのはもっと後代になってからだ、という指摘にはハッとしたし、そもそも石器のかたちを整えることからして「美」なのである、という意見には、なるほどと唸らされた。古代人と似ているようで違い、違うようで似ているところはどこか。そのヒントがたくさん詰まっており、勉強になった。2020/02/16

デューク

4
「太古から人が作る物にはどんな美が宿されてきたのか、人は物にどんな美を盛り込んできたのか」。そんな筆者の疑問から始まった、「美」を切り口にした考古学。 ホモ・サピエンスが初めて製作した道具である石斧から、縄文土器と弥生土器の違い、縄文時代に土器の製作が盛んだった理由、古墳時代の前方後円墳の日本史的意味、銅鐸と縄文土器の共通点、などなど。歴史の新しい楽しみ方を発見できるだけでなく、今に続く「美」の基準がいかに生まれたかを明らかにする一冊。おすすめ2019/02/04

nizimasu

4
考古学(つまり古代以前の人)の時代の日本人が美を感じていたか。それはイエスであろう。では何に対して美しいと感じたのか。それを発掘された土器や道具、古墳から考えていくのがこの本の企みだ。著者は「物時計」という概念を持ち込む。物の形を観てそれを新しく感じるか古く感じるかという視点。そして物地図は民族性を体現する。日本においては中国や朝鮮の物地図も取り込みつつ素朴段階→複雑段階→端正段階を経るという。これは世界共通のようだ。小林秀雄は「装飾性」「物語性」に分離して東日本の複雑期には物語を感じる。現代美術も同様だ2016/03/17

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