内容説明
岸田國士のデビューは、築地小劇場開場と同年の1924年である。演劇の実験室、民衆の見せ物小屋、新劇の常設館であることを提唱し、当分の間は翻訳劇のみを上演すると表明した築地小劇場の上演目録に対しての岸田の批評は、その外国劇上演のおぼつかない翻訳技術を明らかにした。「対話させる術」を無視した生硬な翻訳文体やそら恐ろしい誤訳となって現れた、そのことを岸田は手厳しく指摘していたのである。
著者等紹介
岸田國士[キシダクニオ]
1890年(明治23年)東京・四谷生。劇作家、小説家、評論家、翻訳家、演出家。陸軍士官学校を卒え少尉に任官したが、退役。東京帝国大学仏文選科に学び、フランス演劇への興味を深め渡仏。ジャック・コポーのヴィユ・コロンビエ座やジョルジュ・ピエトフの一座に出入りし、同時代ヨーロッパの芸術革命の波に触れて1923年(大正12年)に帰国。「古い玩具」(24)「チロルの秋」(24)「紙風船」(25)発表。犀利で陰翳に富む知的対話が注目される(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
りえこ
16
岸田國士、好きで読みました。読みにくいかと思っていたら、読みやすくて、今と変わらない事が沢山で素晴らしいなと思いました。面白い!2014/05/08
kuboji
1
深く愛し合っているのに、男のくだらない見栄のためにすれ違ってしまう男女の話が多い。これは1巻もそうだった。現代だからこそくだらないとは思うけど、それでもこうならないための実践は難しかったりもするし、当時はのっぴきならないものがあったと思う。特に「動員挿話」が強烈。「麵麭屋文六の思案」もシニカルでおもしろかった。去年あたり上演されていて、観には行けなかったけど気になっていたので読めてよかった。2019/05/25
のほほんなかえるさん
0
岸田國士はホテルを舞台にするのが好きなのか。舞台にしやすい場所がホテルなのか。どうでもいいことが気になってしまいました。2017/09/12
葛
0
古い玩具 チロルの秋 動員挿話 落葉日記 牛山ホテル 麵麭屋文六の思案 遂に「知らん」文六 流山児事務所のリーディング公演を前にして読む。公演では最後の文六の知らんの繰り返しのニュアンスをハッピーエンドにしていたのが印象的だった。2021/03/27