文春新書<br> 松本清張への召集令状

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文春新書
松本清張への召集令状

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  • サイズ 新書判/ページ数 317p/高さ 18cm
  • 商品コード 9784166606245
  • NDC分類 910.268
  • Cコード C0295

出版社内容情報

7人家族を養う版下職人だった松本清張は、34歳のとき、予想外の赤紙を受け取る。生活の手段を持たない家族を残す不安と、なぜ自分なのかという疑問を胸に、戦地へ向かった。このときの体験は、作家の根底にどれほど深い傷跡を残したか。 後の松本作品に見られる、国家権力の不正に対する激しい憤りは、生い立ちの貧しさだけに由来するのではない。戦争をテーマにした唯一の長編『遠い接近』には、作家の魂の叫びがこめられている。

内容説明

一家七人を支える中年版下職人に、意外な赤紙が届いた。その裏事情とは?後の作品に託した叫びとは?担当編集者時代の私的メモをまじえ、戦争が残した深い傷に迫る究極の作家論。

目次

第1章 松本清張への召集令状
第2章 最初の軍隊生活
第3章 ある日の松本清張
第4章 孤高の作家
第5章 召集令状とは何だったか
第6章 松本衛生兵の真実

著者等紹介

森史朗[モリシロウ]
1941年大阪市生まれ。慶應義塾大学法学部政治学科卒業。本名、中井勝。1965年文藝春秋新社に入社。「別册文藝春秋」「オール讀物」「文藝春秋」各編集長を歴任。のち取締役編集担当となり、2002年退社。執筆活動に入る。日本文藝家協会会員(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

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さえきかずひこ

6
文藝春秋で清張番記者(担当編集)のひとりを務めた筆者による回想記。編集者として体験したエピソードの数々から、創作への鬼気迫る清張の生き様が感じられる。読んでいて思わずたびたび息の詰まるような気持ちになったのは、清張の従軍時代の屈辱から身近な元軍人(自分の亡祖父)の骨身を侵した労苦に思いを馳せたから。清張を反権力や反戦の作家として捉えている筆者の近視眼的な理解には疑問を感じなくないが、しかし高度成長期に清張作品が人々にどのように読まれたかを考えるよすがとなる一冊である。2010/11/02

wang

4
担当編集者だった著者が、松本清張の小説が緻密な現実取材の上にどのように虚構を交えて作劇しているのかを分析してみせる。実際に小説を読み、また編集の合間に聞いた著者の思い出話などから推測を組み立てられるのは長年行動をともにした著者ならでは。考古学への傾倒や文壇批判などが現れる小説の話が中心。特に「行者神髄」は著者が清張と一緒に体験したことが小説中に記述されていて、創作と実体験の対応関係がわかり興味深い。2012/10/16

おらひらお

4
2008年初版。ほかの本では清張は軍隊生活を苦にしていなかったと書いてありましたが、本書では作品を通じてみた清張の軍隊観をうまく抽出できています。途中、やや中だるみしますが・・・。2011/10/19

か〜ら

3
徴兵の選択に何者かの作為が働いているのではないか。松本清張が自身の召集に抱いた疑問が『遠い接近』に結実する迄で。元編集者が作家の創作裏話を綴る。社会的訴求力は小説そのものの方にある。寧ろこちらは作家の横顔紹介的な一冊。然し清張と徴用とを結びつけて語る視点は珍しい。興味深く読める内容になっている。2009/04/08

midnightbluesky

3
清張さんが人生の中で唯一、精神的に解放された日々のこと。

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