出版社内容情報
芸術家の創造活動を理解するのに欠かせない心理学的観点を紹介しながら,アーティストに見られる創作ビジョンの役割に迫る。
内容説明
人はどのようにしてエキスパートになるのか?アーティストの活動から見えてくる人間の創造性と柔軟性。
目次
第1章 美術家とは何者か?
第2章 美術家は何に熟達するのか?
第3章 創造的熟達の初期の相:熟達に必要な諸側面
第4章 創作ビジョン明確化後の相:創作活動の広がりと創作ビジョン
第5章 美術家の創造的熟達と創作ビジョン
第6章 美術と心理と人々をつなぐ
著者等紹介
横地早和子[ヨコチサワコ]
2007年名古屋大学大学院教育発達科学研究科心理発達科学専攻博士課程後期修了。現在、東京未来大学こども心理学部准教授、博士(心理学)。専門分野は認知心理学・教育心理学(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Go Extreme
1
美術家とは: 現代美術と心理学の境遇 美術家にとっての芸術とは何か 美術家は何に熟達するのか: メリッサ・ジンクのWork Stream 創造性 熟達化 認知的枠組としての創作ビジョン 創造的熟達の初期の相ー熟達に必要な諸側面: 学習の段階理論 創作ビジョン明確化後の相ー創作活動の広がりと創作ビジョン: 生涯現役 創造と熟達の次なる境地 美術家の創造的熟達と創作ビジョン: 心理社会的発達や社会的認知の諸概念と創造的熟達 美術家の柔軟な思考を支えるもの:適応的熟達から創造的熟達へ 美術と心理と人々をつなぐ2021/07/30
Jey.P.
1
美術家の熟達や創作ビジョンの機能・発達などを論じた本。芸術観の変遷や創作の広がりにはビジョンが軸になるなどの観点は興味深かった。創作ビジョンがどうすれば形成されるのかという点が掘り下げられたら興味深そう。2021/07/18
shin
0
芸術に馴染みのない余所者によっては、芸術はつかみどころがなく、作品に巧拙なんてあるんかいなと思ってしまいがちだが、定性研究であるものの、本書では芸術家にも熟達の段階があることを示そうとしている。表現手段とその技術の熟達、そして自らが表現したいものが噛み合ったときに、芸術花開くものなのだと感じた。2024/03/01
ニッポニテス的遍歴
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☆=3/5 表現者がいかに独自の「創作ヴィジョン」(作り手にとってのパラダイム)を見つけていくのかを考察。主に製作者本人への聞き取りを通したアプローチを軸にして話が展開されており、認知科学とはいっても人文系の、当事者性を重視したスタンスの研究が紹介されている。 理論的な厳密さよりは「創造的熟達」についての大枠を提示することが目指されており、理論面を期待して読むと肩透かしを食うかも。 受け手側が作品への感受性とそれを言語化する力を磨くことが作り手の創作意欲向上につながる、という結末部の主張には深く同意。2020/10/01