内容説明
六十年余を経て実現した幻の「多喜二伝」。多喜二を生み、育て、そして寄り添い続けた母セキの思いがあふれ、等身大の実像が浮かび上がる。
目次
郷里のこと
舅多喜次郎
慶義と末松
多喜郎の死、小樽へ
築港の三ツ星パン支店
庁立商業時代
小樽高等商業学校時代
末松の急死と多喜二の拓銀勤務
拓銀辞職
多喜二上京と獄中生活〔ほか〕
著者等紹介
小林セキ[コバヤシセキ]
1873~1961年。作家小林多喜二の母
荻野富士夫[オギノフジオ]
小樽商科大学教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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このこねこ@年間500冊の乱読家
2
⭐⭐⭐ 小林多喜二の母、小林セキさんの言葉をまとめた一冊。 葬式もろくにできず、遺骨さえ共産主義の象徴になるからと自由に持ち出せなかった。そんな母の無念さが伝わってきます。 多喜二のような人がいたからこそ、今の自由な世の中があるんだと、あらためて感じました。2021/08/17
kei-firefly
1
母親が若くに思想に身を尽くして亡くなった息子を思う言葉たちに満ちている。 多喜二を育て、互いに学び合い、助け合い、そしてその思想には言及せず、見送る言葉に涙が溢れる。 小林多喜二の人となりがまたよく分かりました!2019/05/26
瀬田
0
多喜二が投獄されていたあたりや、死んだ後の記述は読むのが辛かった。多喜二の死後も肩身が狭い日々を送ったようだし、家族も大変だったんだなあ。2011/10/10
タカラ~ム
0
小林多喜二が非業の死を遂げたのが1933年2月。本書は終戦後にその母セキが息子である多喜二について語ったもの。明治生まれで、おそらくはそれほど満足な教育は受けていなかったであろうセキが語ったにしては妙にインテリジェンスなところがあるが、そのあたりは編集した小林廣によるアレンジがあるようだ。いずれにしても、いかに時代とはいえ国家権力が思想を弾圧し無抵抗な人物を拷問により死に至らしめてしまうという事実が衝撃的。2011/10/01
ゆうちゃんママ
0
こんな残忍な死を息子が・・、母は耐えられない。2011/08/07